森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

剣菱とすき焼きとひれ酒

イメージ 1黒松剣菱
アルコール分: 15.8
日本酒度:+0.5
酵母: 剣菱酵母
仕込み:山廃仕込み(低温自然発酵)
使用米:酒母・麹米・掛け米 ともに山田錦・愛山


この剣菱という酒のネットリ感が私はかなり苦手なのですが、年越しにと買ってきたものです。

剣菱というのはとても由緒のある日本酒で、様々な伝説も持っているほどなのですが、やはり冷でグイグイ行くには爽やかさが無いし、燗でも身体に染み入る前に口の中で味が暴れて大変なのです。
この濃さが好きな人も多いのでしょう。私も濃い酒が好きですが、ダイレクトな甘さや旨みと言うのは求める濃さと違っているのです。不味い訳では無いのだけど。

ですがこの年始に『これ』という使い方を見つけました。
それは

すき焼きの割り下
ものすごい旨みがあり醤油の鋭さを押さえて柔らかさが出て、安い肉でも臭みを消して肉の旨みを引き出してくれます。
豆腐や野菜にも旨みを分け与えてくれるようです。
値段も高くはないしこれからはこれ以外考えられません。

それから

ひれ酒
ヒレ酒用のために、フグのヒレだけを売っています。あれをこんがりと炙って熱燗に仕込むのですが、高い酒では勿体無いし安酒だとひれとアルコールと米の分離感が出てしまって全体が安っぽくなってしまいます。
この剣菱は、炙ったひれの濃さにも負けず全てがまろやかに融け合って良い具合です。
ちょっと風邪気味の時にいい感じですね。(本当は呑まない方がいいのか?)


剣菱ファンには申し訳ない役割かもしれませんが、他の酒と明らかに違いがあり恐らく誰にでも受け入れられる味わい方だと思うのです。


[2010-11-16]