森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

寿司 《梅川》 - 自由が丘、九品仏

イメージ 1自由が丘と九品仏の中ほどの住宅街で10年目を迎える寿司屋
 
《梅川》

カウンター9席というこじんまりとした店で、大将1人で切り盛りしているようです。

自由が丘を知る人ならこの遊歩道は知ってますね。この先突き当たり右にひっそりとこの店はあります。
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前来た時(7・8年前)はネタの熟成の話、器の話など楽しく過ごしましたが、何より握りが丁寧で住宅街の寿司屋とはいえちゃんとした寿司が楽しめたのを思い出します。

はたして今も頑張っているのでしょうか?

暖簾をくぐるとそこは無人で、「こんばんは」と声をかけると奥から大将が出てきました。


するってえと今晩は大将とサシで勝負か?上等だ。
というより、混み合ってるよりそのほうが良い。この人は話せたと記憶している。


まずは基本形の1人前を流して終了後にあれこれ注文、という段取りにして始めます。
それなので、シャリを小さめに握ってもらうことにしました。
私は寿司はシャリとネタのマリアージュだと思っているので女郎寿司は大きらいです。ここの大将はどうバランスをとってくれるでしょう?

酒は、ここにたどり着くまでの間(自由が丘駅から結構あります)凍てつくような寒さだったので(私としては珍しく)熱燗にします。
ワインもあるようですが、寿司はネタそれぞれが一品料理なのでワインとのマリアージュは難しいですね。
醤油とタレと塩や鰹だし、全てに合うワインはないでしょう。それは日本酒でもそうだけど、一応米ですから、葡萄よりは合わせやすいですね。
大将もワインにはうるさい人が多くてキリがないので、グラスワインとしてこだわらない提供の仕方をしているそうです。

以前同様、趣味で集めたというお猪口を選ばせてくれます。黒漆のお猪口を選びました。


付き出しはタコブツを出汁醤油でトロトロに煮たもの。冷たい。チンでいいから暖めて欲しかった。

コハダ、軽く炙った金目、背伸びをしたようなピンピンでツヤツヤな車えび、塩を塗ったイカ、変わった形に切った鯛などなど、きちんと仕事をしていました。
アナゴはコッテリと脂の乗った美味いところが上品なたたずまいで出てきました。

ウニは軍艦ではなく握り・・といっても実際には握れないのでグイ飲みのような器の中に置いたシャリの上にトロけて入って来ました。消毒臭は全くありません。

その後青魚や貝類を注文しました。みな臭みがなく上品な旨味で、良いネタです。

銀座にいたことがあるというだけあって、ネタ作りも握りもそなりにできていました。
ネタとシャリがきちんと結びついた握りになっていて、女郎寿司にはなっていませんでした。
煮きりは使っていませんでしたが、きつさのない醤油でした。


気さくに話もできます。
金目の産地による違い、《すきやばし 次郎》に関してあれやこれや、包丁について・・
学生の頃は池袋が活動拠点ということで、かなり共通の話題で盛り上がりました。


ただね、大将・・
あのシャリはだめです。
粒を見ると良く精米してあるのがわかるので、米は良いのでしょう。
でも炊き加減はちょっと失敗したのかな?ゴワゴワしていて、米の旨味がネタと絡まないのです。

うーん・・
この7・8年で、こちらが贅沢になってしまったのか?
いやしかし寿司全体の造作は良く出来ているので、バランス的にシャリが足を引っ張ったというのは否めません。

熱燗3本つけて8,000円。悪くはないです。楽しかったです。
そのうちもう一回は(確かめる意味で)行ってみようと思います。そのときは気持ちが和らぐようなシャリを頼みますよ、大将。


それにしても、自由が丘駅前はもうちょっと何とかならないのでしょうか。ネームバリューに見合わない乱雑さ。昔からちっとも変わらない。
初めて来た女の子は 「なにこれ?こんなんだったのー」と思うでしょうね。
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こうやって見ると結構きれいに見えたりして・・実際にはもっとガサツな感じなんです。

[2010-3-10]