森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

ワインセミナー at 《KICHIRI きちり 恵比寿》

ワインセミナー at 《きちり 恵比寿》


本日(2009-10-24)は恵比寿でワインセミナー。実際には薀蓄を交えたワインの試飲会。
場所は恵比寿駅前にある 《RELAX & DINE きちり 恵比寿》最奥の大部屋です。

《きちり》は入り口からしてホテルのフロントのような、そして内部は眺めているだけで楽しい、オープンやクローズドのいろいろなスタイルの個室からなるおしゃれな空間です。
雰囲気が良く料理の評価を忘れてしまいそうです。
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講師はワインコーディネーターのクリス・カスターニェ氏。
奥さんが日本人で日本在住5年目なので、日本語がペラペラです。

ワインは
1.クレマン・ド・ブルゴーニュ(白) (シャトー・デュ・シャテラール) \3,600
2.ブルゴーニュ・ブラン '07 (ドメーヌ・ルイーズ・ペラン) \4,410
3.ブルゴーニュピノノワール '05 (ドメーヌ・ルイーズ・ペラン) \4,410
4.アロース・コルトン '93 (ドメーヌ・ルイーズ・ペラン) \10,500
5.ジュヴレ・シャンベルタン '02 (ドメーヌ・ルイーズ・ペラン) \12,390

シャテラールはボジョレーにある8世紀に建てられ10世紀からワイン作りを続けている非常に由緒あるシャトーです。
フランス革命などで破壊された後18世紀に再建され現在に至っています。
現在は2000年にグロッソ氏から引き継いだロジェール夫妻が経営しています。

ルイーズ・ペランはアロースコルトン村の女性醸造家ヴェロニクさんが真面目に細々と経営するワイナリーです。なじみが無いけど、誰もが褒める素晴らしいワインです。

と、ここまでが紹介文の受け売りです。


一応勉強の内容をサラッとおさらいしましょう。

・新樽は約10万円でワイン一本に対し300円以上になるので、安いワインには使えない。
・樽貯蔵することでリンゴ酸から乳酸への変化を促進する。
・樽がワインを長持ちさせ味と香りを丸くする。
・ワインの出来には葡萄果実そのものの資質が8割である。
ピノノワールの香りはキイチゴラズベリー)やクランベリーのよう、と表現される。
ピノノワールは赤身の魚にも合う。
・ただし、醤油には全く合わない。本日の料理には醤油を使わないよう指示してある。
・赤ワインの色は黒・紫から茶・オレンジへと変化する。
・タンニンと酸味のバランスでワインの寿命がわかる。年をとると酸味の比重が下がって来る。
ブルゴーニュピノノワールは19世紀末にフィロキセラでほとんど全滅した。現在の古木は全てその後のもの。

テイスティングしながらの進行なのでセミナー半ばで会場の後ろ半分は宴会状態に突入し、講師の声が聞き取りにくくなってきます。
酔わないように余分なワインを捨てる器がありますが、利用者がいることにビックリしました。


さて、ワインです

クレマン・ド・ブルゴーニュ(シャトー・デュ・シャテラール)
甘みのあるタイプでスパークリングワインやワインに親しんでいない人にも飲みやすいものです。
舌を柔らかく打つ泡が心地よい、きちんとしたクレマンでした。
ただ、庶民にも無理ではない値段でドンペリがあるので比べてしまうと泡が大雑把な気がしますね。あと、私の好みよりは甘すぎます。

ブルゴーニュ・ブラン '07 (ドメーヌ・ルイーズ・ペラン)
口に含んで転がすと、口の中で光を放射するような香りと酸味に、白ワインってこんなに刺激的で楽しいものだったんだと改めて気づかされました。
とても魚のにおい消しに使う気になれないワインです。

ブルゴーニュピノノワール '05 (ドメーヌ・ルイーズ・ペラン)
とても若いけどコクのある、ふくよかではないけど深みのあるピノノワールです。
もちろんピノノワールの爽やかさを備えた上でのものです。

アロース・コルトン '93 (ドメーヌ・ルイーズ・ペラン)
さすがに熟成され樽香をまとって膨らみのある、作品と評価されるレベルのワインです。

ここで事件発生テイスティングのために用意されたボトルからブショネ発見。
この日はワインに詳しくない人もたくさんいたようですが、その人たちにもはっきりわかるレベルのブショネでした。
図らずも絶好の勉強材料になりました。


ジュヴレ・シャンベルタン '02 (ドメーヌ・ルイーズ・ペラン)
アロース・コルトン '93より遥かに若いわけですが、たしかに熟成による旨味や丸みは無いけど、香りが活き活きとはじけるような素晴らしいピノノワールです。様々な味と香りが絡み合いながら広がって、一つに溶け合い丸まっていないことの良さを味わうことができました。


テイスティングの後は会食となり、好きなワインを飲み放題です。

イメージ 2料理は
・レーズンバター
・鮭とホタテのカルパッチョ
・ローストビーフとフォアグラのソテー
・タコの竜田揚げ
・野菜のお寿司


確かお題は和食とのマリアージュ・・??
まあいいか。本心はワインを飲みに来ただけだから。

ここの料理はどれも濃厚な味です。感覚を研ぎ澄まさなくても美味いウマイと堪能できる料理ですね。
それだけに私はピノノワールよりカベルネとかムールヴェードルなどが欲しくなってしまったのですが・・

それでも今日はワインの勝ちです。何万もするものではないけど、十分芸術的創作の成果を堪能できました。

今日の主催者である飛夢(トム)の社長に、日本酒の地位がワインに比べて低過ぎて残念だという話をしたら、高級ワインに匹敵する10万円級の酒を仕込み中だという話を聞きました。
市場に流通する(できる)のでしょうか?今日みたいに宴会付きの試飲会をやるなら行きますよ、社長。


[2009-10-24]