森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

本音-ホンネ ってなに?

建前ばかり言う人は、面白くないとか心底信用できない、という評価を受けますね。
本音ばかりしゃべる人は、遠くから見ると痛快・近くで見るとアブナイ、と見られます。

大雑把に言うと、理想が建前・野蛮や怠惰が本音

だけど、ちょっと待ってください。私は思うのです。
「本音と建前」のこのような二元論は間違っていないか?

人間は精神的複雑さで全く特異な生き物ですね?
猫のような独立心も犬のような群集心理も持っています。
社会ルールとは別に倫理観という不思議な価値を創造しました。
しかし何より他の動物と違う、人間を決定的に特徴付けているものは「理想を持つ」ということです。
それは、

「人間とはどうあるべきか、を考え」
「自分を変えることを希望し」
「それを達成するよう努力する」

ということでしょう。
自己嫌悪に陥ったり、ノイローゼになったり、果ては・・
こういう人たちの何割かは、今の自分と理想の自分の乖離にうんざりしているのではないでしょうか?

私は思うのです。これこそが「本音」だと。
理想と野蛮がせめぎ合って、悶々としている。
この、どっちつかずの悩める姿こそが人間の本音である、と。

「野蛮な人間でいたい」「生涯をだらしなく過ごしたい」と本心で思う人は多いのでしょうか?
「明朗快活・公明正大が苦痛なく実践できたらどんなにすばらしいか」と思いませんか?
それはありえないけれど、望んでいるから悩んでいるのが我々人間でしょう。
逆に理想を失い欲望とルールだけの社会になってしまったら、どんなに殺伐としているでしょう。

だから、
「きれいごとばかり言ってないで、たまにはホンネでしゃべってみな」
という人にあえて言いたい。
「かっこいい文明人でありたいのがホンネだから。乱暴な感情はあるけど、それに負けたくないのがホンネ。」

ただ、絵空事を理想と勘違いすると、惨憺たる結果しか待っていませんけどね。
(切に勘違いされないことを願いますが・・ 私は宗教人ではありません)