インバル、マーラー10番を語る
インバル、マーラー10番を語る
2014年7月16日
東京芸術劇場 シンフォニースペース
講師:エリアフ・インバル
約1時間半の講演と20分の質疑応答で構成されていました。
話自体は書物やCDの解説などにあるような内容でしたが、曲を再生しながらの解説は指揮者ならではの具体的で明確な解釈で、リハーサルを彷彿とさせる意義深いものでした。
質疑応答はシナリオから外れた自由な話で、世界を股にかけて活躍する指揮者の経験と知識と洞察の深さに感嘆する意義深いものでした。
記憶を頼りに幾つか記しておきたいと思います。
Q.どうしてクック版を支持するのか?クック版の確度は?
クック以外の版は校訂者の曲になってしまっている。
クックが多大な調査と努力で仕上げた成果の上に立ち音を足したり変更したりしてクックを否定しこの方が良いと言うのはフェアではない。クックの偉業に感謝している。
若いころ1番・5番の後にクックと協力して10番をやった。以来10番の依頼がたくさん来て、他をやるのが後回しになった。普通と逆だ。
Q.数字のジンクスを信じるか?
信じない。
宇宙は数学的原理で成り立っている。音楽も音を数学的に構成して宇宙を表現したものだ。そういう意味では数字は大切だ。
マーラーをわからないのに指揮をする人が多すぎる。
ドイツの本流の指揮者たちチクルスをあまりやらない。
マーラーは1910年に「今の聴衆は私の音楽を理解しない。50年後には理解されるだろう」と言っている。
演奏はやや大げさで速いが。
コンサートがないので閑散とした大ホール前コンコース
[2014-7-16]