森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

月光

眩しくて目を覚ました。
ボンヤリした頭で何事が起きているのかを知るのに時間がかかった。
カーテンの合わせ目にペン先のような形の隙間ができていて、直視できないほどのそれが覗いている。少し頭をずらすと見えなくなってしまい探すのにちょっと手こずる。

月なのか。
月がこれほど眩しいのか。

振り返ってみると、ペン先の伸びた形のコントラストが枕の一部を切り取っている。
月は明るいな、と感じた事は何度もあったけど・・・
電気の明かりが無い頃の人々にとって月はいつもこういうものだったのだろうか。

月-LUNA

古来、月は人の心を乱す作用があり英語のルナティックは狂気を意味する、と習ったことを思い出した。
ヴァンパイア伝説もそうか。

ドイツ語のMONDは男性名詞だ。眩しいけど温度はない。これが男なのか。

ベートーヴェンソナタやソルの練習曲を「月光」と名づけた人は、月光を見たのではなくその投影を見たのだろう。

最近見たアニメ映画のかぐや姫を思い起こした。
あまり月が印象に残っていないな。もっぱら俗世の話、つらい話だった。


取り留めもなく考えていると、眠れなくなってしまった。
そうしているうち、宇宙が空に変わっていき月は輝きを失った。


[2014-5-16]