森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

松本明慶仏像彫刻展

松本明慶(まつもとみょうけい)仏像彫刻展

先日NHKで放映された
ミケランジェロの街で仏を刻む~松本明慶・イタリア~」 
という番組で、イタリアの彫刻を探訪し大理石の切り出し現場(山)などを訪れていた松本明慶氏の個展が開催されていました。
存命アーティストの個展ですから展示即売会でもあるわけですが、私はもっぱら美術展として鑑賞してきたわけです。

先日奈良で沢山の仏像を見てきたので、彩色や金糸銀糸を完全な形で纏った仏像は大変新鮮でした。

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松本明慶氏の仏像はみな丸顔で穏やかな慈しみにあふれています。
不動明王は無闇に激怒しているようには見えず、己に厳しさを課しているいるようにも見えます。
阿弥陀や観音は慈愛に満ちていて、普賢や釈迦は理知的です。大日は安泰です。その全てがやさしい表情です。
衣で子どもたちにブランコをさせる子安観音など、暖かく微笑ましい作品も多数あります。

金糸などの細工が余りに超高精細で気の遠くなるような作業を想像させますが、衣が光に映えて止めどなく流れるような錯覚を起こさせ、ため息が出るような美しさです。

テレビ番組の中で、イタリアの宿で制作していたご自身の手も展示されていましたが、氏が仏像以外のものを掘るのは極めて異例なことなのだそうです。
テレビでも感銘を受けましたが実物はそれ以上に力感と意志の漲ったインパクトの有る作品でした。

超等身大のものから手のひらサイズのものまでありますが、私は表情が大きく包み込んでくれるような大きい物が好きです。


お値段で目についたのは400万円前後。高いものは1500万円ほどでした。
それでも値札の外されているものが結構ありましたから、お寺さんは儲かっているのでしょうか。
末永く後世に残されることを願うばかりです。


[2013-10-14]