森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

編纂1300年、ゼロから知る 『古事記』

歴史群像1月号別冊 CARTA2012新春号
~ 編纂1300年、ゼロから知る 『古事記』 ~


CARTA(カルタ)というムック本の発刊第1号です。
約130ページの新書版『古事記』が付録としてついています。
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今年は『古事記編纂1300年』だとか。

すなわち、稗田阿礼が「誦習」しその記録を太安万侶が編纂してまとめあげたのが西暦712ということです。

第40代天武天皇が発案し第43代元明天皇に献上されました。

古事記』は現在では「こじき」と読みますが、実はどう読むのかわかっていません。
古事記の記述は漢字のみで、ところどころ万葉仮名が使われているのでごく一分の固有名詞についてのみおおよその読みが推定されているだけです。

だから「あめ」か「あま」か。「ひこ」か「びこ」かなどは、気にせずに読み飛ばすと良いのです。

今だって「江古田」は西武線では「えこだ」地下鉄は「しんえごた」ですね。
「八柱」は京成では「やばしら」JRでは「しんやはしら」です。
地元の人にも両方の言い方をする人がいます。(すこしご縁があって知っているのです。)


また稗田阿礼も何者かわかっていません。
太安万侶は実在が証明されています。

そんな古い時代・・と思いがちですが聖徳太子の時代も天智天皇の時代も過ぎて日本はすでにちゃんとした法治国家になっていました。

また百済への義から常に文化的な師であり友好国であった中国に歯向かって兵を挙げ、倭・百済残党連合軍と唐・新羅連合軍との戦いである白村江の戦いがおきるなど、国際的にも動乱の時代を迎えており、国家の形態を政治・経済・軍事の他に歴史・文化の上でも明確にしアイデンティティを確立することが求められていたと思われます。


とまあ、そんな事がこのムック本で学べ、付録の新書で子供の頃に沢山読んだ「日本神話の物語」よりはやや詳しくしかも前後きちっとつながった形で『古事記』を読むことができます。

阿刀田高さんの『私の古事記物語』はかなり砕けた文体で、厳かさはありませんが大らかさはよく感じられ、平明ではありますが漢語は多く使われ小学生でも読めるといった類の文体ではなく、ココら辺の勉強を怠ってきた大人が気楽に入り直すのにうってつけな内容になっています。


この企画はそもそも2002年発行の歴史群像シリーズ『古事記』を編集したもののようです。
そして最近「ゼロから知る『古事記』」として再編集され発売されました。

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写真や図解が豊富で大変読みやすい反面、歴史好きには全く物足りないと思われます。

日本史が苦手な私には調度良く楽しめました。
永久保存版です。


[2012-7-15]