森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

DenDAC と SB-PLAY

DenDAC と SB-PLAY
上がDenDAC 下が SB-PLay
DenDACはLEDが眩しすぎるのでテープを巻いてあります
イメージ 1
どちらもUSBを利用したヘッドホン用オーディオインターフェイスです。

DenDACは出力のみ、SB-PLAYはマイク入力も備えています。

DenDAC(デンダック)は(株)傳田聴覚研究所という聴覚の研究をしているらしい会社が、随分前から開発・販売していて、一部のオーディオマニアの間では定評のある製品です。

4年ほど前、当時私の自由にできる5台のPC全てが、ノイジーで音がダンゴでマトモな音楽を聴くことができないので買ってみました。

数値から見た特性は眼を見張るほど凄いというわけではありませんし、バーブラウンのDACやエルナー社製コンデンサなどを誇っていますがそれも他のアンプ類では珍しい訳ではありません。

しかし31mmx16mmという小さな基盤に、ムリにつめ込むのではなく両面実装を駆使して音質に配慮した部品配置をしたり、4種類ものGNDを分離して配置するなど、かなりのこだわりを持って作られています。

その成果は音質に十分現れています。

.特に中高音で非常にクリアで品位の高い音質。
.まずまずの解像度。
がキャラクターです。

逆に押し出しの良い低音は望めませんが、ニュートラルといえる範囲ではしっかり再生できています。

ガーディナーウィーン・フィルエルガーでは紳士の国の温かい誠実さと喜ばしい力強さを存分に味わえます。

アシュケナージ+ロイヤル・ストックホルム・フィルのシベリウスではバイオリンのヴィブラートと低弦のわななきによるゆらぎの妙と、コクのある金管を堪能できます。

ゼンハイザーHD650をギリギリですがキチンと鳴らすことも驚きです。(ただし爆音マニア向けの音量は確保できません)

またAKGのK271-studioは、雑な鳴り方が一切フォローされずに露見してしまうのですが、全く破綻なく、HD650よりさらに育ちの良いようなサウンドを楽しめます。

あくまで1万円強という価格から考えてですが、総合的に評価して極めて質の高い、クラシックを真剣に楽しめる再生音です。
この非力そうな小さなデバイスからこのような音が出るとは少し感動的ですらあります。


一方のSB-PLAYは、ハードウェアとしてサウンド機能を持たないサーバー用マシンをデスクトップに転用したため最近試しに買ってきたものです。

こちらはDenDACの1/5の価格でしかない上にマイク入力を装備というわけですが、やはりそれなりの物でした。

クラシックのオーケストラでは一番聴こえやすい音がよりしっかり聴こえ、他の音は引っ込んでしまうようです。
ホールトーンが聴かれないのでライブ感がなくなってしまいます。

要するに解像度が低いのでしょう。

反応も遅いようでブリトニー・スピアーズの《Oops!...I Did It Again》は重くメリハリが消えてしまいます。
DenDACでは軽やかさと衝撃音のミックスが楽しめるのですが。

元気がいいのだけど、ジャンプや横飛びが苦手なマッチョという印象です。

しかし、ディースカウ+エッシェンバッハの《詩人の恋》はグッと迫ってくる感じがします。
たまたま良いフィルターがかかったのかも知れません。

やはりSB-PLAYの方は音楽を本気で聴き込む製品ではないようです。
もちろん、出来の悪いPCのノイズからは解放されますが。


[2011-11-8]