森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

ドガの小さな踊り子 ~ パリ・オペラ座バレエ

パリ・オペラ座バレエ公演 バレエ ドガの小さな踊り子》

小さな踊り子=クレールマリ・オスタ
エトワール=ドロテ・ジルベール
バレエ教師=マチュー・ガニオ
黒ずくめの男=バンジャマン・ペッシュ
母親=エリザベート・モーラン

指 揮:コーエン・ケッセル
台 本:パトリス・バール、マルティーヌ・カーン
音 楽:ドニ・ルヴァイヤン
演 出:パトリス・バール

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ドガの《14歳の小さな踊り子》という塑像を題材にしたオリジナルストーリーです。
黒ずくめの男が登場するあたり、《エトワール》などもヒントになっているでしょう。


オペラ座のエトワールを夢見る少女は拙い練習生だが、母親にせっつかれてオペラ座の常連客をパトロンにしようと近づいた時、出来心で財布を盗んでしまう。
少女はサン・ラザール刑務所に投獄されエトワールの夢は潰えるが、彫刻となって姿をとどめた。


音楽が非常に精巧に書かれていて、オーケストラはさぞ大変だったろうと思います。

しかし、落ち着きがなくストーリーに盛り込まれた夢や憧れ、無理解や蔑み、そして挫折。そのような物が音になったとは思えません。

エストサイドストーリーの一番ごちゃごちゃした部分のサウンドが延々と続くような印象です。
あえて言えば、聴き続けるほどに苛立ちが増大する音楽でした。

そしてバレエですが、振付が音楽に合わせて小ぶりで素早い部分が揃っておらず見苦しさを感じます。

ドガの絵にあるように練習場の雰囲気をだそうとしたのでしょうが、舞台上の至る所で無秩序にダンスの断片を踊っていて、ストーリーに絡む人物が際立っていません。
おまけにヒロインは拙い練習生なので、息を飲むようなダンスは脇役たちの持分です。

クレールマリ・オスタは《ペトルーシュカ》の時と同様、拙さを巧みに表現していて素晴らしいのですが、舞台上どこを見たらいいかわからない落ち着きの無さに悩まされます。

これは演出と照明の両方に難がありそうです。

優雅な部分も気が抜けて見えてしまうという、まずい緩急配置に感じました。



良かったのは、「白は美しい」「黒は美しい」と、最近事あるごとに感じていることを再認識させてくれた事です。

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[2011-11-12]