森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

歯から始まる怖い病気


イメージ 1歯から始まる怖い病気

著者:波多野尚樹

発行:祥伝社新書


著者は私がインプラント手術を受けた歯科医院の院長先生です。

宣伝本だろうとタカをくくって読み始めたのですがなかなかの力作で、多くの人ん呼んでもらいたいと思い、いくつかのトピックを要約し紹介します。










ニューヨークのお金持ちよりもアイダホの無医村の方が遥かに歯が良かったといいます。ニューヨークに優秀な歯科医はいますが、彼らは悪くなった歯を治療するだけ。
一方アイダホの無医村では治療を受けるのが困難なため、地区全体で歯磨きを励行する教育指導を徹底したそうです。
その結果、無医村では歯の悪い人が圧倒的に少なくなったというのです。


80歳で19本の歯が残っているというフィンランドでは、歯医者は治療のためではなく予防のために通うのが習慣となっているそうです。

そういえば私もアメリカはピッツバーグ出身の女性と歯について話した時、日本人が歯が悪くなってから歯科医に行くのが不思議でならないと語っていたのを思い出します。
「なんで、なんで?あなたたち何なの?」という勢いでしたね。


火事場の馬鹿力は強い歯がないと出せない。
奥歯を食いしばることが重要なので、スポーツでも歯がなくては良いプレーヤーにはなれない。


歯が少し抜けても残りの歯で補えると考えてはいけない。
歯にはゴルフのクラブと同じように一本一本異なった役割がある。


ライオンは歯が抜けると死ぬ。
ライオンの胃には穀物を消化する酵素がないため、どうしても肉を切り裂いて食べなければならないから。
人間も、歯の機能に沿った穀物・植物・肉類のバランスの取れた食事をするように作られているから、奥歯だけ・前歯だけ、では健康を維持できない。


ある歯を噛みあわせている時、他の歯は浮いて休んでいる。
そのバランスを司っているのが顎のガイドレールになっている犬歯。
だから犬歯が抜けると全ての歯が咬合力を受け続け、弱って抜けてしまう。


歯がないとボケる。
歯には動脈・静脈・三叉神経があって、知覚がある。
砂粒を感じるのは舌ではなく歯の神経である。
歯で知覚することで脳が活性化する。
また、噛むことで顔面から脳への血流が活発になる。
そのため、歯がなく噛むことができないと脳が退化する。


破骨細胞が骨を破壊し骨芽細胞が作っている。
人体のすべての骨は二年間で完全に入れ替わっている。
歯周病は骨芽細胞を壊してしまうので、歯を支えるべき骨が消失してしまう。
またタバコは破骨細胞を活性化させる。


血糖値は食事後30分で上昇し、食欲を抑制する。
歯が悪い人は噛まずに飲み込むクセがあるので食事時間が短く、太りやすい。


歯は酸に弱く、2日ほど酢につけておくと包丁で切れる程柔らかくなる。
虫歯とはミュータンス菌が糖分を補給し酸を生成することで発生する。


チタンと骨はほとんど同化していると思えるほどくっつく。
(オッセオ・インテグレーション)
これがインプラントの基本。
だから歯周病で骨が萎縮しているとインプラントすらできない。



などなど、示唆に富んだ記述が盛り沢山です。

非常に合理的に歯をいたわる理由を納得させてくれるので、これを読んだ後では歯磨きをせずにはいられなくなること間違いありません。


[2011-9-30]