森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

観智院へ


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観智院

特別拝観の日であった観智院。

正直に言えば、東寺に観智院という施設があることを知りませんでした。

特別拝観ということで、特別なことが好きな私はわからぬまま向かったのです。






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東寺からは、一旦境内を北側へ出て堀を渡った直ぐ右側です。

因みに《観智院》というのは、僧侶の勉学の場である勧学院であるようです。










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内部は撮影一切禁止なので、写真は無し。

しかし、とてもではないがパシャパシャ無神経に撮影する様な雰囲気ではありません。

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入り口では水盆にろうそくの火を浮かべています。
儀式張ったことはあまり得意ではありませんが、何事もやって見るの精神でひとさし置いてきました。





さて観智院の内部ですが、水墨画や彫り物や屏風絵などが当たり前の場所に当たり前のようにかけられていて、往時を忍ばせます。

勉学の場ですから、正座した姿勢にならなければそれらをきちんとした角度で見ることができません。
ですので正座してみると、やはり居住まいを正さねばいられないような、しかし堅苦しいというよりは場の空気が自然と背筋を支えてくれるような感覚を覚えます。

メインの中庭はもちろん、非常に小さなスペースにも立派な枯山水や美しい植栽が施されていて、さぞやせっせと手入れをしていたのだろうと感じます。

宮本武蔵の筆になる《鷲の図》 《竹林の図》 の二題が襖に描かれています。
かなり退職していて、何が書かれていたかを推測するしかない部分もあります。
しかし、一筆一筆の筆致にも構図そのものにも大変な勢いを感じる絵でした。


奥の間でお茶をいただくことができましたが、歩きまわりたい意が勝ってしまいやり過ごしました。

別のある部屋は写経室になっており有料で写経ができるのですが、夢中になって時間を忘れてしまいそうなのでこれも遠慮しました。
しかし、時間がたっぷりあるなら一度やってみたいものです。


貴重な品々でしょうに、全てがガラスケースもバーもなく同じ空間に存在するというのは、大変意義深い経験だったと感じます。
美術館で作品を見るのとはちがい、そのあるべき場所に自らの身を置いて同じ空気に取り巻かれて見るのは、美術品そのものの中に入ることでもありそれ自体がパフォーマンスでもあって、何もかもが身体に染み入ってくるようです。



五重塔よりも印象的な体験でした。


[2011-2-19]