いまさら私が説明するまでも無いことですが、とても少ない色数でグラデーションによって緻密さと広大さを表現しています。
光がとても柔らかく表現されているのですが、間近で見るとただ柔らかいだけでなく大変緻密な質感描写をしていることがわかります。
砂漠でひび割れた岩の不規則で荒れたテクスチャーの描き込みなど、目を凝らしてみれば気が遠くなるほどの塗り重ねと調整を想像させます。
青の陰影だけで画いた
雄大な夜景などは、
日本画の繊細さと岩絵の具における顔料の精緻で多様かつ贅沢な使い方の極地で、西洋に持っていって「どうだ!」と見せ付けてやりたいような誇らしげな気分になります、。
これは午前中に見た
シャガールと同様、印刷には絶対に載らない立体的にキラキラ輝く顔料粒子の集積であって、色そのものが情景を語るという点では
シャガールのずっと上を行くものだと感じました。
(様々な色の混合、という点では
シャガールは紛れも無い天才ですが。)
実物を見に来て本当に良かった。
心から感嘆しました。
[2010-8-13]