プリズンホテル 2 秋 (浅田次郎)
プリズンホテルの第二巻です。
今回は青山警察署の慰安旅行と関東桜会の壮行会という、どちらも桜の代紋を背負った二つのグループがプリズンホテルで鉢合わせする一泊二日のエピソードを中心に描いています。
あとがきで作者は言います。
「二匹目のドジョウが一匹目よりうまい、ということはまずないのですが」
しかし
「さほど遜色はないと思っておりますが」
と。
「二匹目のドジョウが一匹目よりうまい、ということはまずないのですが」
しかし
「さほど遜色はないと思っておりますが」
と。
一泊二日を420ページで書き込む。しかもホテルから一歩もでない、という大仕事をやりおおせたと言う気概が感じられるあとがきですが、どうでしょう。
前作では登場人物たちが勝手気ままに口から出任せなセリフを吐まくり、まさに狂詩曲のように混沌とした、それでいて活きいきとしたリズムが最後には綺麗に人情のジグソーパズルを完成させるような巧みさと爽快感が有りました。
しかし私は今作には登場人物たちが予め設定した大きなプロットに沿ってしゃべらされているようなよそよそしさを感じました
「一字一句ゆるがせにせじ」
と作者が言うとおり、考え抜かれたセリフと感じてしまうのです。
あとがきからすると筆は快調に走っていたのでしょうが、重さを感じてしまいました。
と作者が言うとおり、考え抜かれたセリフと感じてしまうのです。
あとがきからすると筆は快調に走っていたのでしょうが、重さを感じてしまいました。
それと、浅田次郎の欠点を発見しました。
ありきたりのつまらないセリフを書くのが下手、ということです。実にぎこちないのです。抑揚の無いやり取りにもそれなり、ある種のリズムはあるものですが、それが浅田次郎にはつかめないのでしょう。
ありきたりのつまらないセリフを書くのが下手、ということです。実にぎこちないのです。抑揚の無いやり取りにもそれなり、ある種のリズムはあるものですが、それが浅田次郎にはつかめないのでしょう。
ま、それでも笑いも涙も確かにあったので、贅沢を言い過ぎなのですが。
しかし話の中心である主人公、木戸孝之助・木戸仲蔵の生い立ちとキャラクターはよりはっきりしてきて、次作には期待が持てそうです。
(実はこの時点で40ページほど読んでいますが、生きの良いリズムを取り戻しているようです。)
(実はこの時点で40ページほど読んでいますが、生きの良いリズムを取り戻しているようです。)
[2010-2-18]