森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

実演が喚起する想い

今日はお呼ばれで、あるアマチュア合唱団の演奏会に行ってきました。
浜離宮朝日ホールです。

イメージ 1このホールはとても残響が豊富で音楽がリッチに聞こえるのですが、音響が混濁しない非常に優れたホールです。


ここで行われた演奏会に私の知り合い3人が出演しているのですが、コンクールを狙うような張り詰めた演奏をする団体ではないのです。

それでも曲に対する共感を素直で伸びやかな声で表現していてとても魅力のあるコーラスを聴かせてくれました。


録音ではあまりないことですが、コンサートでは時々、その時の心理状態が妙にパフォーマンスに共振してしまって感動してしまう、ということがあります。

私も演奏する側の人間ですから、良かった演奏もそうでない演奏もどの音がどう、どのフレージングがこう、自分ならこうする、と分析してしまうのですが、どうしてもどうして良かったのか判らない演奏と言うのに出会うのです。
今日がそれでした。

舞台には3人の良く知った人間が乗っています。
そのうち2人はお互いに人生の軌跡を知った仲で、若い頃は毎日何時間も夜中まで電話で話した仲で、1人とは指揮者と愛すべきパートリーダーの仲です。

その3人が舞台で晴れやかに音楽の感興に身を任せている。
彼女らの晴れやかさと懸命さが愛おしく、少し距離を置いた我々の歳月が愛おしく、鼓舞しあったりひどい事を言ったりした昔が愛おしく、熱いものがこみ上げてきてしまいました。


思い返すと私に人生最大の影響を与えてくれたアンドレス・セゴビア。その演奏会は高齢でヨレヨレだったけど、時々上手くいく指さばきとサウンドの透明感に神秘のベールの向こうからこちら側へ近づいてくれたような気がして、感銘を与えてくれました。

日清パワーステーションでのタイマーズの復活ライブ。社会問題を訴えていて、不条理に厳しくそして人間に優しい清志郎RCサクセションとは違った人間性を見せてくれて歌と言うより清志郎の人間に感動しました。


舞台のパフォーマンスは録音・録画で見るのとはその訴えかけの強さだけでなく質も違うものです。

一期一会の舞台との出会いを大切にして行きたいと思います。

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[2010-1-31]