森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

真犯人に告ぐ!

イメージ 1犯人に告ぐ
週刊朝日MOOK 朝日新聞出版
 
1.世田谷一家殺害事件
2.金大中拉致事件
3.八王子スーパー3人射殺事件
4.『悪魔の詩』惨殺事件
5.3億円事件
6.井の頭公園バラバラ殺人事件
7.三陸ミステリー
8.徳島・自衛官変死事件
9.和歌山毒カレー事件
10.足利幼女連続殺人事件
11.国松警察庁長官狙撃事件
他に
DNA鑑定の経緯と現状
婚活不審死疑惑
検死に関する提言


未解決事件の現状レポートです。

興味本位の憶測ではなく事実に即して、判らないものは判らないと書かれています。
また、検察や警察が指摘されたくないこと、マスコミの非なども赤裸々に書かれています。
だから、この手の記事としては信頼性が高い印象です。

全て発生してから相当の年月が経過し捜査を尽くした(またはしなかった事が明確に露呈した)事件なので、今まで途中経過を週刊誌やテレビの特集などで見た時よりもはるかにまとまった情報を提供してくれています。
また、子供の目に触れるテレビや新聞では出せない描写も克明にされているのでより的確に事件を把握することが出来ます。

金大中拉致事件では社会の表に出ることのなかった密約や政府組織のことが克明に描写されて、大変興味深く読みました。

八王子スーパー事件や3億円事件では、思わぬ疑惑が含まれていること、まさに『事実は小説より奇なり』の思いです。この二事件についてはテレビでは言及されることの無い公序良俗に反する登場人物たちが事件に対するイメージを全く違ったものにしてくれます。

三陸ミステリー・自衛官変死事件・足利幼女連続殺人事件では警察や検察に対して怒りを禁じ得ません。メンツを優先したというだけでは腑に落ちない程の情けなさはいったいどういう脱線の仕方なのか、全く理解不能です?

国松警察庁長官狙撃事件も改めてオウムの統率された謀略の凄まじさに驚くばかりです。

このレポートはあらゆる人に読んでいただきたいですね。興味本位の探究心を満たすだけでなく、人間や社会に対する深い考察を促してくれます。それに現在やこれからの事件に対しても読み方を変えてくれる可能性があります。


ここに取り上げられた事件は全てその時にはかなりの関心をもった事件ですがいつの間にか『そんな事件もあったな』と記憶の中で風化しかけていたものです(足利事件だけは最近話題になったばかりですが)。

あれだけ騒いだあの事件はいったいどうなったんだ。
そういう事件がたくさんあります。

今後もぜひとも客観的で総括的なレポートをお願いしたいと思いました。


[2010-1-28]