オーディオブック 《Anne of Green Gables》 - 赤毛のアン
オーディオブック 《赤毛のアン》
Anne of Green Gables
L.M.Montgomery
1908年
L.M.Montgomery
1908年
オーディオブック
unabridged
CD9枚組
朗読:Susan O'Malley
出版社:BLACKSTONE AUDIO INC.
CD9枚組のunabridged版で$24.95USと非常に良心的な価格です。
unabridged
CD9枚組
朗読:Susan O'Malley
出版社:BLACKSTONE AUDIO INC.
CD9枚組のunabridged版で$24.95USと非常に良心的な価格です。
赤毛のアンは一般には子供向けと思われていると思いますが、読んでみると完全に教養を備えた大人向けです。
皮肉・反語・暗喩、古今の文学や聖書からの引用など、恐らく現代のアメリカ人やカナダ人でも、ミステリー小説ばかり読んでいる平均的読書好きには読みこなせないと思われます。
皮肉・反語・暗喩、古今の文学や聖書からの引用など、恐らく現代のアメリカ人やカナダ人でも、ミステリー小説ばかり読んでいる平均的読書好きには読みこなせないと思われます。
カナダ人に例えば佐渡ヶ島が舞台の話を読ませて唐突に 『赤城の山も今宵限り』 というセリフが出てきたら、訳がわからないでしょう。日本人なら誰でも赤城山は群馬だけど、一家を解散して逃亡する場面を情緒的に表しているのだと分かります。
『かつ消え、かつ結びて』 というだけで単なる古語的表現ではなく 《方丈記》 からの引用で、現世の虚しさを表現していることが分かりますね。でもこれは日本人でも思い出せないかも知れません。
『かつ消え、かつ結びて』 というだけで単なる古語的表現ではなく 《方丈記》 からの引用で、現世の虚しさを表現していることが分かりますね。でもこれは日本人でも思い出せないかも知れません。
この《Anne of Green Gables》にはそんな表現がふんだんに使われているのです。
しかも現代の欧米人にとっても、この二つの例よりもはるかにマイナーな引用だと思われます。欧米文学にはそれなりに自信があり聖書も何遍も読んでいる私でも、太刀打ち出来ませんでした。
しかも現代の欧米人にとっても、この二つの例よりもはるかにマイナーな引用だと思われます。欧米文学にはそれなりに自信があり聖書も何遍も読んでいる私でも、太刀打ち出来ませんでした。
それから草木の名前がたくさん登場して、日本とは植生が違うのでイメージできないまま進めざるを得なかったりします。
それで大した英語力でも無い私がヒアリングしていると、聞き流していい部分と肝心な部分の識別に神経質になったり、引用元を知らないために意味不明だったりと、しょっちゅう迷子になるのです。(会話だと何時間でもしゃべっていられるんですけど、一方通行は難しいです。)
ちなみに私の英語力とは、英語圏なら助けなしに何とか観光してこられる程度です。政治家の演説やCNNのアナウンスはだいたい分かりますが、若者の早口会話はまるで聞き取れません。
ちなみに私の英語力とは、英語圏なら助けなしに何とか観光してこられる程度です。政治家の演説やCNNのアナウンスはだいたい分かりますが、若者の早口会話はまるで聞き取れません。
ヒアリングの補助に原書を用意しました。
Anne of Green Gables
マスマーケット
出版社:WORDSWORTH CLASSICS
280頁
文法的には平易なのですが、たとえセンテンス単位で理解できても意味が繋がらなかったりします。
"One could have eaten a meal off the groud without overbrimming the proverbial peck of dirt"
「地面から拾った食べ物を諺どおりの土くれをつけずに食べられただろう」
??訳せるけど意味が分からない。
Anne of Green Gables
マスマーケット
出版社:WORDSWORTH CLASSICS
280頁
文法的には平易なのですが、たとえセンテンス単位で理解できても意味が繋がらなかったりします。
"One could have eaten a meal off the groud without overbrimming the proverbial peck of dirt"
「地面から拾った食べ物を諺どおりの土くれをつけずに食べられただろう」
??訳せるけど意味が分からない。
これは私は日本語としてあまりこなれてないと感じますし、学校の授業のように原文に書いていないことまで理解のために訳してあったりと疑問に感じる部分もあるのですが、87頁にも及ぶ解説と相俟ってカンニングペーパーとしては最上のものです。
同時代のオー・ヘンリー、コナン・ドイルやH・G・ウェルズなども原文で読んでいますが、簡単なことを長く引き伸ばして叙述するところは同じですが、こんなに注釈(教養)を必要とすることはありませんでした。
市民革命以後の民主主義や人道主義が根付いた後の欧米文化はかなり現代に通じていて、通常それほど注釈を必要としないものです。
市民革命以後の民主主義や人道主義が根付いた後の欧米文化はかなり現代に通じていて、通常それほど注釈を必要としないものです。
そんなこんなでやっと終了したのですが、これに取り組んだのは電車の中や歩行中だけですので、思わず吹き出したり涙を誘ったりする部分でとても困りました。
高校生の時に村岡花子さんの訳書を読んでいるのですが、大人になって読んでみるとマリラのほうへ感情移入してしまって、どうしても熱い気持ちになってしまいます。
逆にアンの激烈なおしゃべりが昔読んだ時のように煩わしくなく、微笑ましくまたいとおしく思えました。
逆にアンの激烈なおしゃべりが昔読んだ時のように煩わしくなく、微笑ましくまたいとおしく思えました。
Susan O'Malleyさんの朗読は声色や口調の使い分けが繊細でたっぷり感情移入できるものです。とても折り目正しく子供に読み聞かせるような感じで、もう少し流暢に読んでくれても良いのにと思うくらいです。
[2010-1-18]