森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

初湯千両- 天切り松 闇がたり (第三巻)(浅田次郎)

イメージ 1初湯千両-天切り松 闇がたり(第三巻)
作者:浅田 次郎
出版社:株式会社 集英社集英社文庫


松蔵の語りもいよいよ説教口調になってきました。

世の中の裏表が、ある時は大局的に、またある時は微視的に描き出され、その中で目細一家の面々がどう筋を通して危うい渡世を貫いていくのかが、美しくも悲しく、繊細に描写されます。

目細一家はみんながみんなスーパーマンなので、筋書き上どんな無理も通ってしまうのですが、けっして騙された気にならないのは全編が思いやりの心と(人物それぞれの)義に対する美意識を土台に成立しているからでしょう。

最後の『銀次蔭盃』は電車の中で読んでいたのですが、最後の数ページはそんな環境では読むことができず、持ち帰りました。

ちなみに『銀次蔭盃』は以前コミック雑誌で読んだことがあるエピソードなのですが、会話以外の部分も文体が美しく味わいのある小説のほうが真に迫って来ると感じました。


構成
初湯千両
共犯者
宵待草
大南公の太刀
道化の恋文
銀次蔭盃




[2009-3-30]