森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

『パンズ・ラビリンス』 恐るべきファンタジー

パンズ・ラビリンス 恐るべきファンタジー

イメージ 1

出 演:
 イバナ・バケロ
2006年



















1944年スペイン内戦を背景に描かれる恐ろしいファンタジーです。


主人公の少女オフェリアは母の再婚相手である大尉にレジスタンス掃討の拠点に連れて来られた。
妻を息子を産ませるための道具としか思っいない大尉はオフェリアのことも厄介者扱いする。さらに拷問・殺害を娯楽にするような残忍な男である。
繊細な感性で全てを察しているオフェリアは童話の世界に逃避する。


さて、出だしが少女が鼻から血を流し横たわる不穏なシーン。
何を意味するのかこの時点ではわかりません。

虫と妖精。
恐ろしい姿をしたパン。
巨大なヒキガエルや手のひらに目がある人喰いモンスター。

CGで描かれるそれらファンタジー世界の住人はヨーロッパの作品らしいおぞましさです。
ハリウッドホラーのような大げさで現実離れした描写ではなく体温や臭気を放つ生々しい描かれ方で、日本の観衆には嫌悪感を催す人も多いはずです。

しかも現実パートも容赦無い凄惨な描写です。

過酷な現実から逃れた先のファンタジー世界にも厳しい試練がありました。
でもオフェリアはそれらを克服し成長して行きます。

そして最後の試練に対する彼女の選択と結末は・・・


美しく厳しく強く切なくおぞましい、大人ための辛口ファンタジー。決して幼児に見せてはいけません。
現実に辟易している大人には良い気付け薬になるでしょう。ぜひ -心して- 見て頂きたい。


[2013-5-19]

追.
イバナ・バケロ、どこかで見たことあると思いながら見ていたら、アイルトン・セナにそっくり。