森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

東京芸術劇場 オルガン復活! お披露目コンサート

オルガン復活! お披露目コンサート

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キリスト教の復活祭である本日、東京芸術劇場ではオルガンの復活がお披露目されました

オルガンのオーバーホールのためサヨナラコンサートが開かれたのは二年前のちょうど同じ日でした。
(311の震災で各種のイベント自粛ムードの中、演奏会はチャリティー企画として開催されました。)

ただしこのオーバーホールは震災前から企画されたもので、震災の被害を復旧するためのものではありません。

パンフレットもイースターエッグをモチーフにしたなかなか洒落たものです。








東京芸術劇場のオルガンのオーバーホールが終了しました。
もっとも片面は9月11日のリニューアルオープン時にはできていたそうですが、もう片面はオープン後、日中は会場が使用されているので夜中の作業となり、半年間の徹夜作業をしてきたそうです。

演奏家から「欠陥品で演奏不可能」とまで指弾されてしまったオルガン、どうなったでしょう。
東京芸術劇場の正オルガニスト、小林英之さんによれば鍵盤の重さは2/3から半分までに軽くなりトリルが楽になったとの事です。

オルガンの制作会社であるマルク ガルニエ オルグ ジャポンのマチュー・ガルニエさん(ガルニエ御大の息子さん)の談話もあり氏とチームのオルガンにかける情熱は感銘深いものでした。
また、311の震災でオルガンの装飾がステージに落下し「おにぎりの大きさ」に砕けていたそうですが装飾はすべてその取付部位に合わせて特注で制作されたものなので、3日かけて破片をパズルのように接合し金箔を塗りなおして復元したそうです。

オルガンは彼らにとって宝物であり文化である。
そう訴えるマチューさんは本日のお披露目演奏会を迎えて夜は眠れなかったし演奏中もハラハラ・ドキドキし今は感無量である、と胸を押さえギュッと目をつむる、まるで日本人のような思い入れたっぷりで引っ込み思案な感想を巧みな日本語で語ってくれました。


このオルガンはルネッサンスバロック面、モダン面という裏表二面の構成になっています。
本日はお披露目ということもあり、3つのオルガンで順々に時代に即した曲目を演奏しました。
比べれば違いは明らかでした。

ルネッサンス・オルガンは鄙びた音で典雅にモテットを奏でました。

バロック・オルガンは雲間から漏れる天の光や荘厳な神の声と慈愛を響かせました。

モダン・オルガンは人間の知恵と才気を立体的に調和を持ってわかりやすく訴えて来ました。

バロック・オルガンの圧倒的な音の奔流は凄まじかったし、同じ音域を備えながら音楽全体を審美的に判断し味わえるバランスと豊かな表現力を持ったモダン・オルガンは見事に性格のの違いを示していました。


本日は休憩時間のみ特別に撮影自由でした。
珍しい転回風景を撮影することができました。

ライトアップされ美しいオルガン。
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おにぎり大に砕けてしまったという唐草文様の装飾も完璧に修復されました。
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三面が別々に回転するとは知りませんでした。
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ピタリと背中合わせなモダン面が見えてきました。
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オルガンは建物に埋め込まれ一体となって建築されるという認識はここで破れました。
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ステージからオルガンのてっぺんまでは約20メートルあるそうです。
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いつも見えているモダン面。アルミっぽい色だと思っていたけど、しっかり見ると白い。
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ルネッサンスバロック、モダン。全て合わせて約9000本のパイプですから、一つ一つを見れば今日の日本では特別大きいオルガンというわけではありませんが、その性格の違いを聴いた今となっては画期的な楽器であると言うことが理解できます。


[2013-3-31]