フリッツ・ラングの『ニーベルンゲン』
ニーベルンゲン
第1部「ジークフリートの死」
第2部「クリムヒルトの復讐」
脚本:テア・フォン・ハルボウ
監督: フリッツ・ラング
出演: パウル・リヒター, マルガレーテ・シェーン
弁士:沢登翠
(WOWOWの放送を録画視聴)
ちなみに脚本のハルボウはラングの夫人です。
無傷のフィルムは残っておらず、今回のハイビジョンリマスターには複数のネガとプリントを使用して白黒のプリントを起こしてから現存のプリントを参考に彩色処理をしたそうです。
デジタル処理も施され擦り傷やホコリのない綺麗な映像に仕上がっています。
これもほぼ原作叙事詩と同じ構成です。
(凡庸なグンターを軽蔑し高圧的に接するブリュンヒルト)
叙事詩で大作ということを意識してか、または時代的なものか、情感は大雑把に表現されあまり感情移入を誘うものではありません。
特に終板のブルグントとフン族の戦いは凄まじく、業火に包まれるアッチラの宮殿は圧巻です。
(クリームヒルトはハーゲンと兄たちが籠城したアッチラの宮殿に火を放つ)
私は高校生の頃から部屋に『メトロポリス』の摩天楼のポスター(巨大ビルの下に高速道路が走り、周囲をプロペラ機が飛び回っているヤツです)を張って憧れていたのですが実は未見。いくつかの作品を見ようとしたものの地味な映像に挫折し、これがラングの初鑑賞となりました。
驚嘆するばかりで退屈することはありませんでした。
なにしろ、活弁は日本独自の話芸の一分野のようなものですから、ニーベルンゲンにふさわしいとは私には思われませんでした。
[2013-3-26]