メジューエワのラフマニノフ協奏曲第三番
中央区交響楽団 2012冬のコンサート
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第三番
指 揮:橘直貴
ピアノ:イリーナ・メジューエワ
2012年11月4日 第一生命ホール(晴海トリトンスクエア)
しかも指揮者がグローバル・フィルと同じ橘直貴氏です。
オーケストラは弦楽器がやや弱く音程も揃っていない状態で、初めは緊張もあるのかやや縮こまった印象でした。
終局は派手に終わらせました。
私は好きなソリストを楽しみたい時コンチェルトは余り好みません。ソロ楽器の表現に神経を注ぐというものではないからです。
しかしこの演奏会ではメジューエワの非常に繊細な表現と美しい音色を余すところ無く味わうことができました。
オーケストラが厚い響きを出すことができないのでピアノの音が支配的で、音楽性もピアノが柱となってオーケストラがまとまっているような印象でした。
譜めくり嬢がピアノを聴きこんでしまって息を呑んだりゾクッと来てるのがよく分かってしまい「これは危険だな」と心配になっていたのですが案の定、譜面をめくり忘れてしまいました。
実は私も同じ経験があったので、その時のコッパズカシさが蘇って来ました。
ちなみにメジューエワは「作曲家の存在を忘れないため戒めとして譜面を使用する」というポリシーです。
「今どき暗譜もしないでステージに上る」と馬鹿にする人がいるけど、そんないい加減な態度で楽譜に頼ってあんな深い音が出るはずない事はわかりますよね。
すごい拍手にいつもの素朴で素直な心からの笑顔で答えて去って行きました。
さて最後のドヴォルザークは私が大好きな曲です。
ブラームスを尊敬したドヴォルザークがブラームスみたいな凄い交響曲を書いてやろう、ということで完成させた曲は、郷土の織物を都会のスタイルで仕立て上げた背広のような感じを与えますが、みずみずしさと生命感に溢れた曲調はアマチュアリズムを刺激するのではないでしょうか。
ソロやカラミが多く度胸も試されると思いますが、なかなか気持ちよく演奏していたのではないかと思います。
ただ団員の皆さん、演奏後なぜかうなだれ気味に見えました。疲れたのでしょうか?
そこは笑顔にならなきゃダメですよ。
[2012-11-6]