ねじまき少女 上巻
ねじまき少女
著者:パオロ・バチガルピ
翻訳:田中一江・金子浩
ハヤカワ文庫SF
多数の賞を獲得したSFの話題作です。
温暖化による海面上昇でニューヨークなど世界中の沿岸都市が水没しています。
たいへん魅力的な舞台設定の中でクセのある登場人物たちが縦横に動きまわり、密度の濃い小説です。
しかし・・・
ページをめくるごとに登場する未知の人名・企業名・社会制度・歴史・・・
それらは解説されることなくそこの住人の会話を通してのみ読者に語られます。しかもその会話が思わせぶりや皮肉や反語で脚色され、ロジックを追うのもままなりません。
読者は一人の知り合いもない異国に放り出されたように、この世界を断片からジグソーパズルを組み立てるように学んで行かねばなりません。
そういった小説であるにもかかわらず、きちんとした日本語表現に置き換えらておらず、原文の解釈に困った所を不可解なまま日本語にして読者に対して投げっぱなしにするところも散見され、翻訳しきれていない印象です。
上巻を読み終えた時点で復習を余儀なくされたので、せっかくですから掲載しましょう。
読みながらまとめたものですし、私の理解も完全なものではない事をお断りしておきます。