森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

『ミス・タナカ』 江戸糸あやつり人形 結城座

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ミス・タナカ

江戸糸あやつり人形 結城座

作:ジョン・ロメリル
翻訳:佐和田敬司
脚色・演出・人形美術デザイン:天野天街
作曲・音楽プラン:坂本弘道

音楽・演奏:トニー・ルイス(パーカッション)
      マシュー・ドイル(ディジュリドゥ
      坂本弘道(チェロ)

2012年9月28日 東京芸術劇場 シアターウエス







戦前のオーストラリア、真珠採りのダイバーを生業とする日本人移民の話です。

高齢でダイバーを引退した田中佐一は同じくダイバーであった妻をサメに殺され息子の和彦を頼みの綱とし荒んだ生活をしています。
ところがある日高額の賭けに負け和彦を奪われることになってしまいます・・・


粗野でけたたましく下品で悪趣味。
描かれる世界と演出の両面で、そんな形容がぐるぐる渦巻いて吹き上がるような印象です。
そんな中で小さな人形が猥雑な情念と怨念をたぎらせて叫びます。

人形を使うことでアクが薄まったり上品になったりするかといえばそんなことはなく、結城座の場合は人形遣い自身が大いに演技をするので、孫三郎さんの容貌と声が田中佐一の情念と重なって強い力で迫ってきます。

ライブパーカッションとアボリジニサウンドも土俗的なパワーに満ちていて気味悪い程のインパクトのある舞台でした。
坂本弘道さんの前衛的で感情を逆撫でるようなチェロも坂本さんの身体が折れてしまうのではと思うほどの熱演で凄まじいものでした。

随所に笑いを散りばめてあるし一応はハッピーエンドといえるのでしょうが、心にズシリと残るもののある公演でした。

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終演後は演出の天野天街さんと演奏の三人でのアフタートークがありました。

キッチリと構成された舞台というよりも、ライブ感の強い舞台であったということが対話からもわかり有意義でした。


次は古典を見てみたいとも感じました。







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池袋駅へ戻ると折しもストリートパフォーマンスで操り人形・・・
狙ったのかな?まさかね。















[2012-9-28]