映画 フラメンコ・フラメンコ
映画 フラメンコ・フラメンコ
flamenco flamenco
監 督: カルロス・サウラ
出 演:
サラ・バラス
エストレージャ・モレンテ
ミゲル・ポベダ
イスラエル・ガルバン
エバ・ジェルバブエナ
ファルキート
ニーニャ・パストーリ
ホセ・メルセー
マノロ・サンルーカル
私は自分がギターを弾くこともあって、随分以前はフラメンコ弾きの友人もいたし店に出入りしたりした時期があったのです。
新大久保のガード下のそのまた地下にあったバルは、知り合いに連れて行かれなければ決してくぐらないような怪しい入り口だけど、店内は蝋燭の灯りでムード満点。ダンサーに蹴飛ばされそうなほど近いという楽しい店でした。
小松原庸子さんの《真夏の夜のフラメンコ》は五回ほど行ったでしょうか。
真夏の日比谷野音はたいてい雨にたたられますが、ステージの熱気でずぶ濡れも物ともせずに見たのは楽しい思い出です(今思うとなんで合羽を持っていかなかったかな?)。
老舗タブラオの新宿エル・フラメンコは、ステージ最寄りの席ではダンサーの汗が降りかかってくるのを覚悟しなければなりませんが、情熱的な踊りに圧倒されます。
さてこの映画ですが、Bunkamuraでポスターを見かけて懐かしくなったのですが今回は立川に見に行きました。
音響が素晴らしい立川シネマ・ツーです。
スタジオで撮影された21のセッションを次々と映し出すPVのような映画でストーリーはありません。
それぞれのセッションは参加アーチストの様々な組み合わせで演じられますが、その全てがあるコンセプトで繋がっているように感じられます。
私が馴染んだフラメンコに対してあまり土の香りが感じられずだいぶモダンな印象を受けます。
ダンスは優雅な動きが多く、モダンバレエの要素を感じました。
2台のピアノでの弾き語りというのも私には珍しいものでした。
しかし深い憂いを絞り出すようなカンテ(歌)はこれぞフラメンコと思えるもので、その魂には何ら変質を感じないものでした。
枯れた仙人のようになったサンルーカルや、木彫りの神様みたいなパコ・デ・ルシアを観られたのも感無量です。
パコと共演するときの若手たちは畏敬の念でいっぱいという眼差しです。
パコは相変わらず乾いた音でシャープなリズムを刻んでいて、別格の趣でした。
見たかったものとは少し違ったけど、カンテもバイレ(ダンス)も一流で十分に楽しめました。
でもやっぱり、こんなに凄くなくてもいいからタブラオやバルに行きたい、という気持ちも湧いてきてしまいます。
[2012-4-14]