森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

ハヴィエル・ペリアネス ピアノ・リサイタル

ハヴィエル・ペリアネス ピアノ・リサイタル
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デ・ネブラ:ソナタ Op.1-5
ファリャ:アンダルシア幻想曲

2009年6月15日 浜離宮朝日ホール

NHKの放送を録画視聴






1978年スペイン生まれの若手です。
バレンボイムやデ・ラローチャに師事したらしく演奏にもそれが伺えます。

まとわりつくようなリリシズムで、今どき珍しいタイプでしょうか。
シューベルトも《亜麻色の髪の乙女》や《アンダルシア幻想曲》でさえも、湿った悲しみの衣を着ているようです。

静寂の間を取ることはあまりなく毅然とした部分も少し気だるさを帯びているので、やや叙情性過多に感じられて、もう少し若い時に聴きたかった演奏だという気になりました。

しかし、好きな人はドップリ入り込んで聴くことが出来るのではないでしょうか。


珍しいデ・ネブラを聴き始めて驚いたのですが、まるでスクリャービンのような響きです。
デ・ネブラ(1750-1784)はセビリアオルガニストだった人ですが、スペインには昔からエキゾチズムと少し印象派的な響きが宿っていたようです。
モーツァルトと6~7年ずれただけの時代を生きた人から出てくる音のように思えません。
少し進むと逆にソレールよりも古く雅な、クープランスカルラッティの音がしてきてこんどは随分保守的だと感じることになります。

ペリアネスの弾き方によるところが大きいようです。


その後の耳に馴染んだ曲たちも普段と違い、雪景色のなかで響いているようでした。


[2012-2-25]