森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

ガランチャの 『カルメン』

ガランチャ ビゼー 歌劇 『カルメン
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(すこし《チェネレントラ》)


合 唱:メトロポリタン歌劇場合唱団
バレエ:メトロポリタン歌劇場バレエ団
エスカミーリョ=テディ・タフ・ローズ

2010年1月16日 ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場

NHKの放送を録画視聴




大変話題になったカルメンですね。
2009年のチェネレントラで安定した演技と歌唱力で可憐なシンデレラを演じたガランチャが180度個性の違うカルメンを演じます。

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信じられないくらい変身したガランチャ。
肉食系女子の親玉のようなカルメンを引いてしまいそうなほどワイルドに演じています。

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柔らかく安定した声の持ち主ですが、歌を崩してヤサぐれた感じを出しています。

アリアは旨く、セリフは猫なで声を出したりドスを効かせたり、変幻自在。
しかもバレエダンサーに混じってしっかり踊っています。

本物のフラメンコダンサーが数名いて振付アシスタントも務めたそうなので、わりと本物っぽいフラメンコダンスです。
振付師によるとガランチャは誇示しないそうだけど間違いなくダンスの嗜みがありそうだとか・・

なかなか達者です。

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しかしやはり素敵なのは第四幕。

闘牛士エスカミーリョの女になって、野性味と美しさに気品とゴージャスさが加わってからがガランチャの領分という気がします。
















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アラーニャはいつも通り、破綻してしまう優等生。

ドン・ホセには合っているようでいて、あまり軍人らしくないし密輸団の一味らしくもないあたりが、アラーニャらしいところです。

恋で身を焦がしていると言うより、駄々っ子が癇癪を起こしているように見えてしまいます。

喉が終盤まで持たないように思えるのもいつもどおりです。
巧い歌手だとは思うのだけど。








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バルバラ・フリットリはさすがの安定感と感じさせます。

ただミカエラに「さすがの安定感」は少し違う気もします。

フリットリ本人も「ただおとなしく控えめなだけの女ではない」と言明しているように、ドン・ホセに対してお姉さんぽく振る舞う演技だったのでしょう。




エスカミーリョは出しゃばらない演技で「周囲から持ち上げられる存在」を表現したそうですが、やはり男が嫉妬する程のゴージャスイケメンを演じて欲しいと思いました。

しかし当日朝10時に出演の連絡を受けたカバーということで、それにしては堂々たる演技だったと言えます。


これがMETデビューの指揮のヤニック・ネゼ=セガンは始めやや不安を感じるほどメリハリ系の快速演奏でしたが、終わってみれば緩急・硬軟を自在に使い分けニュアンス豊かにオペラを盛り上げてくれました。
非常に楽しみな指揮者です。



それにしても、この化けよう。
女は怖い・・・

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姉妹からどんなにイジメられても明るさと前向きな気持ちを忘れないシンデレラ(チェネレントラ

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王子様と結婚できたお祝いのプレゼントは
『姉妹たちを許すこと』


[2011-10-29]