森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

ベスト・オブ・ショパン イリーナ・メジューエワ ピアノ・リサイタル

ベスト・オブ・ショパン  イリーナ・メジューエワ ピアノ・リサイタル

オール・ショパン・プログラム
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○第一部
華麗なる大円舞曲 変ホ長調 OP.18
小犬のワルツ OP.64の1
ワルツ 嬰ハ短調 OP.64の2
 変イ長調 OP.25の1《エオリアンハープ》 
 ヘ短調 OP.25の2 
 変ト長調 OP.10の5《黒鍵》
 嬰ハ短調 OP.25の7
 ホ長調 OP.10の3《別れの曲》
 イ短調 OP.25の11《木枯し》
 ハ短調 OP.10の12《革命》

○第二部
プレリュード 変ニ長調 OP.28の15《雨だれ》 
ノクターン 嬰ヘ長調 OP.15の2
即興曲 第1番 変イ長調 OP.29
ワルツ 変イ長調 OP.69の1《告別》
ワルツ ヘ短調 OP.70の2
バラード 第4番 ヘ短調 OP.52 

○アンコール
ノクターン《遺作》
プレリュードから23,24番


2011-8-13



この日のメジューエワはとても優しいタッチで、繊細な音の彩を重視した演奏を心がけていたように感じます。

大ホールだからと力むことは一切なく、むしろ観客の感性に近づいてきて欲しいと訴えているようです。

そういう聴き方に慣れた観客はいいけど、そうでない人には彼女の千変万化の音色や優しくたゆたうようなテンポの移ろいが素直に心に入って行かない危惧さえ感じるほどでした。

実際そのような落ち着きのなさを会場の気配に感じたのです。

ところが後半に入ってから彼女の音色が冴えて聴こえてきて、それは2000人の聴衆が聴き方を心得て彼女の美のマジックに捕らわれた結果であったのです。

《雨だれ》は無上の美しさではあるけど、繰り返しが多く感じてしまうほどの弛緩も感じたのです。
しかし舟歌の中間部では彼女らしい深くて重い呼吸が聴衆を絡めとってしまったのです。

時々彼女の演奏に感じる『ベートーヴェンを聴いているような感覚』はありませんでした。

溌剌とした青年的熱情や怒りとは無縁の、あくまで夢幻の美しさと母性的な優しい詩情に溢れたショパンです。


ただこの《みなとみらいホール 大ホール》、私はピアノ独奏に向いているとは思えません。
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一階席だけで1044席、舞台も天井反響板もないアリーナ型のステージ。

大編成のオーケストラなどには良いのかも知れないけど、ピアノ独奏では音が拡散してしまい、私のいた14列目では間接音ばかりがめだち、音の粒立ちもなくなってしまうようです。

それでも非常にライブな音は見事ではあるけど、特に低音では倍音成分ばかり聴こえるので音色が浮ついてしまい、重量感が出ません。

アンコール最後のプレリュード終曲はゴツゴツした低音を楽しみたいのですが、最終音でこのホールではいかなスタインウェイといえども重量感のある低音を聴衆に届けることができないのが分かりました。

前回の 《紫陽花コンサート2011》 があまりにも素晴らしかったので少し期待をかわされた感もありましたが、彼女の音の美しさをタップリと、立体感や構成感は半分くらい、楽しむことができました。


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パシフィコ横浜の前にあります。


正面が開いていなくて、複合施設の《クイーンズ》から回りこんでいかなければなりません。












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クイーンズへ回りこむ回廊。

実際には薄暗い路地のような雰囲気なんだけど、きれいな写真にしてしまいました。

















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ショッピングモール《クイーンズ》内にあるホール入り口。














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内部で大ホールと小ホールに分かれています。

落ち着いたいい雰囲気ではあるけど、通路なので皆慌ただしい雰囲気で過ぎて行きます。









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秋にはここにウィーン・フィルが来ます。
チケットの販売開始時刻に『チケットぴあ』に全くログインできなかったのですが


[2011-8-14]