森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

マーラー 交響曲第3番 ヤンソンス - コンセルトヘボウ


指 揮:マリス・ヤンソンス
メゾ・ソプラノ:ベルナルダ・フィンク
合 唱:オランダ放送合唱団
    ブレダサクラメント少年合唱団

2010年2月3日 アムステルダム・コンセルトヘボウ

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ヤンソンスは学生の時初めてマーラーを聴き「私の音楽だ」と確信したといいます。
そして第3番はマーラー初期の交響曲の中で最も偉大な作品だと述べています。

その彼が演奏するマーラー
まずは素晴らしいと言っておかねばなりません。

出だしすぐに演奏の質感が分かります。

ストレートな発音だけど、官能的な美しい音色。

膨らみは少なく力みもないけど、柔らかくしなやかで美しい筋肉を思わせます。

ロイヤル・コンセルトヘボウはホールトーンに頼った音と感じた時期もありましたが、今はしっかりとした密度感のある美しい音色です。

彼らのマーラーは、バーンスタインみたいな人間臭いものでもなく、クレンペラーみたいに悠揚迫らぬ大河ドラマのようでもないけれど、音楽の豊かさを作為なしにあますところなく伝えるものです。

これを特徴がなく物足りないと感じる人もいるようですが、私はバーンスタインの人間臭さを暑苦しく感じてしまう方なのでとても自然に心を預けることが出来る演奏なのです。

メゾのベルナルダ・フィンクも自己アピールをしない献身的な歌い方です。

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この曲は人間の祈りや問い掛けでもあるけど、人智を超えたものもテーマにしています。

作りこみ過ぎない素直な音楽。
それでいて極上の美音を極上のバランスで重ねあわせたゾクゾクするような美しさに延々と浸ることができる、素晴らしい体験をさせてくれます。

終盤の美しい壮大さにはとめどなく涙が溢れて抑えることができませんでした。


[2011-8-10]