森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

ボリショイ・バレエ公演 《パリの炎》

ボリショイ・バレエ公演 《パリの炎》

指 揮:パヴェル・ソロキン
作 曲:ボリス・アサフィエフ
振 付:アレクセイ・ラトマンスキー
現振付:ワシーリー・ワイノーネン
出 演:
ジャンヌ=ナターリヤ・オシーポワ
ジェローム=デニス・サビン
フィリップ=イワン・ワシーリエフ
ボールガール公爵=ユーリ・クレフツォフ
アデリーヌ=ニーナ・カプツォーワ
ミレイユ・ド・ポワチエ=アンナ・アントニーチェワ
アントアーヌ・ミストラル=ルスラン・スクヴァルツォフ
アモール=エカテリーナ・クリサノワ

2010年3月29日

NHKの放送を録画視聴

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ストーリー:
フランス革命前夜、領主ボールガール公爵に目をかけられ、さらわれそうになる農民ジャンヌを兄ジェロームが救いますが、公爵により投獄されてしまいます。
それを公爵の娘アデリーヌが救います。

領地にいられなくなった兄妹は義勇軍に参加しパリへ進軍します。
その義勇軍で妹ジャンヌは兵士フィリップと恋仲になります。

パリではルイ16世の宮廷で夜会が開かれており、そこにボールガール公爵とアデリーヌも列席しています。

義勇軍の軍靴の音が聞こえると、アデリーヌはジェロームを訪ね自らも義勇軍と行動を共にします。

宮廷が攻め落とされると貴族たちが次々とギロチンにかけられ、そこにボールガール公爵の姿もあります。
制止するジェロームを振り切って父の許へ駆け寄るアデリーヌは貴族であることを知られてしまい・・・


農民の娘ジャンヌ役のナターリヤ・オシーポワがとても田舎臭い垢抜けない動作でコミカルですが、それ
が却って目を見張る様な技を際立たせています。
とにかく高く速く、素晴らしい動きを披露してくれます。
ジェローム役のデニス・サビンとのデュエットは華麗の一語に尽きます。

フィリップ役のイワン・ワシーリエフはマッチョタイプの大柄なダンサーですが、速く良く動きます。
あの大きな体躯があれほど動くと奇妙な感じがするほどです。

印象に残ったのはアモール役のエカテリーナ・クリサノワです。
小さな身体を活かして、軽やかにしなやかに、そして美しく舞っていました。

最後にジェロームが物語全体を回想するシーンが入りますが、この時間が前後するバレエに似つかわしくないシーンは巧みに演出されていて理解に迷うことがありませんでした。

革命のお祭り気分と二つの恋の物語がコントラストを成して、非常に重層的で見ごたえのある物語です。

立ち姿やちょっとした所作など、それぞれの地位や心情が精細に表現されていて、顔の表情も演劇顔負けの迫真の演技です。

ダンスを通して物語を存分に楽しむことができました。

やはり物語バレエはいいものだと思わされました。


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ジェロームとジャンヌ兄妹

ものすごい息の合い方。
そして空中戦とも呼びたいような高いジャンプ。

二人でピッタリと跳ばれると、まるで中国のワイヤーアクションを見るような錯覚に落ちます。




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劇中劇のミレイユ・ド・ポワチエとアントアーヌ・ミストラル

役者を呼び遊興にふける貴族たちの場面での劇中劇を演じています。

形式ばった堅苦しい演技は劇中劇を意識してのものでしょう。

それだけにかえって二人とも非常に精巧な技術があると感じられます。





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ルイ16世の小心ぶりと、それを見るマリー・アントワネットの冷ややかな態度が表現されています。









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アモールのエカテリーナ・クリサノワが目を引きました。
凄い筋力と持久力も。

とにかく機敏によく動くという印象。












宮廷での夜会から抜け出し義勇軍のジェロームのもとへ走るアデリーヌ。
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町娘の衣装に変えて義勇軍に身を委ねます。
この二人の演技は容姿の伸びやかさも手伝って、力が入るものではなく有美です。
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しかし処刑される父を見捨てることができず処刑台へ走りよります。

その結果・・・












[2011-2-20]