森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

ダン・ゲァハルツ来日絵画展

ダン・ゲァハルツ来日絵画展
(池袋東武百貨店 美術画廊)

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昨年末12月19日に電車の吊革広告で見かけて惹かれてしまい、終了間際だったので翌日すぐに見に行きました。

Daniel F.Gerhartz (ダニエル・F・ゲァハルツ)
1965年アメリカ生まれの若い画家です。

一目で引き込まれる華やかさを持った画風です。

全体は華やかな印象ですが、暗い色を多用していて目と気持ちの落ち着き先があるので、見ていて気持ちが浮わついたりくたびれたりはしません。

実に巧みな加減です。

そして、品が良く配色も単純に美しいと感じます。
とてもチャーミングです。

描かれる花はしなやかで美しく、女性や子供も同様。
美しい素材を美しい色で描いているのですから、愛らしい絵になるのは当たり前だと思ってしまうのですが、なかなかそうはいかないのは、この人の絵が特別な魅力を持っている事から明らかです。

絵が画家の心理や心象を表しているような感じがしません。
ただ、曇りのない美しさを主張してくるだけです。

構図の中心が女性の背中のトルソ、という変わった絵も、女性の背中のカーブが美しく、髪がまるで無数の薔薇の花弁のようで、大胆ではなく繊細に美しく仕上がっています。

精密に描かれているのかと思いきや、目を近づけて見てみると意外と大雑把な筆致で、髪の毛の筋や枝葉の一枚一枚が描写されているわけではありません。
絵画の魔法をよく心得ています。

紹介文には《現代印象派》などと書かれていますが、《現代のロココ》とも言えそうな雰囲気を持った絵です。

この絵たちと何度も出会いたい、そう思いました。


[2011-1-31]