森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

森麻季 ソプラノ・リサイタル

イメージ 1
森麻季 ソプラノ・リサイタル

2010年10月3日
所沢市民文化センター ミューズ アークホール

ソプラノ:森 麻季
ピアノ :山岸 茂人













第一ステージ
グノー:歌劇「ファウスト」より”宝石の歌”
ラヴェルシャブリエ風に (ピアノ・ソロ)
クララ シューマン:美しさゆえに愛するなら
シューマン:はすの花
シューマン:「子供の情景」より4曲(ピアノ・ソロ)
シューマン:牛飼いの娘
シューマン:ばらと海と太陽は
マーラー交響曲第4番~天上の生活

第二ステージ
ロッシーニ:歌劇「セミラーミデ」より”麗しい光が”
グルック/ズガンバーティ編:メロディー(ピアノ・ソロ)
ラモー:エジプトの女(ピアノ・ソロ)
ルッツィ:アヴェ・マリア
ケルビーニ:アヴェ・マリア
マスカーニ:アヴェ・マリア
サン=サーンス/ゴドフスキー編:白鳥(ピアノ・ソロ)
ヴェルディ:歌劇「椿姫」より”あぁ、そはかの人か”~”花から花へ”

アンコール
山田耕作:からたちの花
越谷達之助:初恋
プッチーニ:私が街を歩けば(ムゼッタのワルツ)
千の風になって


どんなにビブラートをかけてもフォーカスがはっきり感じられる音程。そして珠のように美しい声と転がりまわるコロラトゥーラ。
その美しさだけでもかけがえの無い価値を持っています。

よく言われるように声量が少なく、ピアノ伴奏が遠慮がちに思えてしまったり、オペラではオーケストラにかき消されはしないかと心配になるほどです。
それを非難する人も見かけますがしかし、この美しさと巧みさを愛さない理由には全くなりません。

ただし、やはりロマン派の曲ではある種の深刻さや率直さが華やかさに隠されてしまうように思いますし、ヴェルディプッチーニなどでは開放感と力強さに欠けるように感じられます。

しかし、ヘンデルグルックでは思わず「巧い」「美しい」と唸ってしまうのです。

そして日本の歌曲は深い共感と愛情が感じられ、胸を打ちます。
この人の日本歌曲だけのプログラムを聴いてみたいものです。


ピアノの山岸さんはとても繊細で透明感のある美しい響きを出すピアニストです。
この人に子供の情景は全くふさわしく、息を飲むほどの美しさでした。
また、ラヴェルやラモーでは軽妙にサロンの品を感じさせてくれました。

今日のプログラムは森さんが曲目解説をし歌詞の日本語訳を詠んでくれたり、ピアノソロが挟まってお色直しをしたりと、面白い趣向のコンサートでした。
その分、森さんの歌が少し減ってしまったわけでもありますが。

アークホールは豊かで透明感のある響きをもった優れたホールです。
舞台の上部から見下ろす天使像や石柱などで風格を醸し出していますが、必要無いような気も・・・


[2010-10-3]