森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

マスカーニ 《カヴァレリア・ルスティカーナ》

マスカーニ 《カヴァレリア・ルスティカーナ》

合 唱:チューリヒ歌劇場合唱団
指 揮:ステファノ・ランザーニ
演 出:グリシャ・アサガロフ
出 演:
ローラ=リリアーナ・ニキテアヌ
アルフィオ=チェイン・デーヴィッドソン
ルチア=イレーネ・フリードリ
トゥリッドゥ=ホセ・クーラ
サントゥッツァ=パオレッタ・マロック

2009年6月19・21日 チューリヒ歌劇場

NHKの放送を録画視聴

どうも私はこのオペラに対しては、「美しい音楽や合唱を背景に、主人公が延々と恨みつらみを言い続ける変なオペラ」というイメージなのです。
決闘で死を覚悟したトゥリッドゥが、ローラのための決闘なのに突然ウンザリしたはずのサンタを思いやるのも唐突です。

それはさておき、音楽がとても美しいことに変わりはありません。

この上演も、オーケストラは出だしの一小節目から繊細で柔らかい演奏に引き込まれます。
決して高機能なオーケストラというわけではないのですが、血が通った演奏と感じられます。

歌手については、ホセ・クーラは良く声が出ていますが一本調子です。
野卑なトゥリッドゥにはそれくらいで良いのかもしれないけど、最後には母を慕い、サンタに思いやって死んで行くなど、弱さゆえの我がままを表現しても良いと思えるのですが、そうはしていません。

トゥリッドゥにすがりつくサントゥッツァ
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サントゥッツァのパオレッタ・マロックは悪く言えば金切り声系で、純真さをもてあそばれた娘というより、諦めの悪いおばさんに見えてしまいます。

対峙するトゥリッドゥとアルフィオ
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アルフィオのチェイン・デーヴィッドソンは舌足らずで発音が妙です。

安心できるのはローラのリリアーナ・ニキテアヌとルチアのイレーネ・フリードリですが、決して出番が多いわけではありませんので、全体としては歌手の力量に物足りなさを感じた公演です。

ローラとサントゥッツァの心理戦
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しかし、美術的に美しいのと、先に述べたようにオーケストラと合唱はムード満点で楽しめました。


[2010-9-6]