森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

グルック作曲 歌劇《オルフェオとエウリディーチェ》


エウリディーチェ=ダニエル・デュ・ニース
アモール=ハイディ・グラント・マーフィー
                              
バレエ:メトロポリタン歌劇場バレエ
合 唱:メトロポリタン歌劇場合唱団
演 出:マーク・モリス

METライブビューイングの収録です。


お馴染みのオルフェウスの話です。

妻エウリディーチェをなくしたオルフェウスが愛の神アモールの計らいで、黄泉の国から彼女を連れ帰ることを許される。
ただし、途中エウリディーチェを見てはならないし、この取引について話してもならないという。

しかし、帰途のエウリディーチェは夫の態度を不実であるとなじり、たまらなくなったオルフェオはエウリディーチェを見てしまう・・・


とても単純な話ですが、心地良いバロック音楽とバレエによって、高い求心力を持っています。

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ステファニー・ブライスは本来カストラートが演じるパートをメゾソプラノ演じる『トラウザー・ロール』です。
彼女はメトの若手育成プログラム出身で、今宵の指揮者のレヴァインとも信頼関係を形成しているようです。

素晴らしい安定感と艶のある声で、低音部分だけ聴いていたらまさに凛々しいテノールと勘違いしたでしょう。
しかし、高音部は輝かしい女声で、声そのものに魅了する力があります。
声の木目がなめらかでとても気持ちのいい声です。

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アモールはコミカルな演出がされていて、歌手の力量を測り知るのが難しい印象です。
スーパーに買物に行くようなアモールで何を表象しようとしたのでしょうか?














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エウリディーチェのダニエル・デュ・ニースは素晴らしい熱唱で、演技も歌も充実感タップリです。
繊細さと情熱を合わせ持った良い歌手ですね。
ただ、ステファニー・ブライスの声の伸びと対比してしまい、もうすこしブリリアントだったら、と感じてしまいました。















オーケストラはもう少し膨らみのあるサウンドが欲しいと感じました。
キビキビするのか、柔らかくするのか、どちらつかずな印象でした。

[2010-6-24]