森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

歌劇《ランスへの旅、または黄金の百合咲く宿》

歌劇《ランスへの旅、または黄金の百合咲く宿》 - ロッシーニ

コリンナ=パトリツィア・チオーフィ
メリベーア侯爵夫人=ダニエラ・バルチェルローナ
フォルヴィル伯爵夫人=アニーク・マッシス
コルテーゼ夫人=カルメラレミージョ
騎士ベルフィオール=フアン・フランシスコ・ガテル
リーベンスコフ伯爵=ドミートリ・コルチャク
シドニー卿=アラステア・マイルス
ドン・プロフォンド=ニコラ・ウリヴィエーリ
トロムボノク男爵=ブルーノ・プラティコ
ドン・アルバーロ=ファビオ・カピタヌッチ
ドン・プルデンツィオ=アレッサンドロ・グエルツォーニ
ドン・ルイジーノ=エンリーコ・イヴィーリア
デリア=アウローラ・ティロッタ
マッダレーナ=パオラ・ガルディーナ
モデスティーナ=アンナマリア・ポスペ
ゼフィリーノ=パトリツィオ・サウデルリ
ジェルソミーノ=ファブリツィオ・メルクーリオ
アントニオ=フィリッポ・ポリネルリ

合 唱:ミラノ・スカラ座合唱団
管弦楽ミラノ・スカラ座管弦楽団
指 揮:オッターヴィオダントー
演 出:ルカ・ロンコーニ
2009年4月14日 ミラノ・スカラ座

NHKの放送を録画視聴


1825年シャルル10世の戴冠に際して祝典のために書かれ実際に上演されたオペラです。
ところが長い間失われていて、1828年作の《オリー伯爵》へ改作されたと考えられていたそうですが、近年譜面が徐々に集められ、1984年にルカ・ロンコーニ演出、アバド指揮で蘇演されました。

これはそのルカ・ロンコーニの演出による上演です。

祝典用のためオールスターキャストを想定した内容になっていて上演はかなり大変だそうです。
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ストーリーは・・・
シャルル10世戴冠式が行われるランスへ向かうためにコルテーゼ夫人の経営する宿《黄金の百合》に集まった名士たち。
しかし出発直前になって馬が予約でいっぱいで一頭も手配できないと言う知らせが入る。
ランスへの旅は諦めるが、パリでも盛大な祝典が催されると聞きフォルヴィル夫人の好意でパリの夫人の屋敷へ向かうことになる。

それだけです。いくつかの痴話喧嘩があったりしますが基本的にはオールスターキャストのガラ・コンサートを何とかストーリー仕立てにした、という程度のものです。だから筋書きの進行に対して集中力を保つのが恐ろしく大変です。

なにしろ第一幕でランスへは行けないことになってしまい、第二幕はパリ行き前夜の宴会にしてしまえと言うことで、登場人物たちの宴会芸(歌合戦)へと突入するわけです。

しかしそこを割り切ればとても華々しいショーピースが並ぶ祝典コンサートになります。
この上演も芸達者が集まり、歌舞伎の顔見せ公演のように、ストーリーなどどうでも良くヤンヤの大喝采を送りたくなってしまいます。


演出は、始めにパパラッチが登場したり、歌劇場の外を行進しているシャルル10世の行列を舞台のスクリーンに投影したり、最後にその行列が客席後方から進行して来りと、斬新なものですが品位のある調和を感じさせるもので奇を衒っただけではないセンスの良さを感じます。
まあ、ストーリーがあって無いようなものですので演出も大枠のアイデア意外は評価するほどの部分も見当たりません。
演奏はスカラ座らしい高品位なものでした。もちろん歌手たちも。


[2010-4-24]