ピアノ協奏曲 ショパン:シューマン、ユンディ・リ:ペライア
NHKで『ふたりの天才』という、ショパンとシューマンを池辺晋一郎氏が並べて論じる番組を放映していました。
その協奏曲編です。ショパンとシューマン、どちらも以前に放映されたものですが、改めて並べて聴くといろいろ考えさせられるものです。。
その協奏曲編です。ショパンとシューマン、どちらも以前に放映されたものですが、改めて並べて聴くといろいろ考えさせられるものです。。
二十歳のユンディ・リ。
音楽性はウェットでウォームで粘りがあります。そして音はクリアで寒色系という反対の資質をもっているので、まとわりつくようなしつこい甘さが感じられないし、線の細さがデリカシーという良い方向に聴こえてきます。、
音楽性はウェットでウォームで粘りがあります。そして音はクリアで寒色系という反対の資質をもっているので、まとわりつくようなしつこい甘さが感じられないし、線の細さがデリカシーという良い方向に聴こえてきます。、
ショパンで聴く限り誰でも好きになるピアニストでしょう。
ルビンシュタインのような『男の背中に漂う哀愁』というのはないけど、二十歳の若者にそれを求める人はいません。
あと少ないものは、理知的なノーブルさ(ひたむきなノーブルさはあるのですが)。力強さ、ゴージャスさ。これらはブレハッチには有ったもの。
あと少ないものは、理知的なノーブルさ(ひたむきなノーブルさはあるのですが)。力強さ、ゴージャスさ。これらはブレハッチには有ったもの。
実は彼の1987年、デイヴィス+バイエルン放送交響楽団のCDを持っているのだけど、その時より遅くなっています。
改めて1987年版を聴いてみると、開始こそあっさりしたテンポに感じるものの、それに馴染んでみると透明感と推進力の両方が物凄い高みで結びついて、美しい迫力ともいうべき独特な高貴さを獲得しています。
第3楽章は全く乱暴な感じがしないのにキラキラと輝いて爽快で力強い迫力に圧倒されます。
第3楽章は全く乱暴な感じがしないのにキラキラと輝いて爽快で力強い迫力に圧倒されます。
20年後である今回の演奏はやはり落ち着きが出てきています。
じっくりと歌わせやや普通の演奏に近づいたかと思わせますが、ひたむきな推進力の代わりにおおらかな叙情の比率が高まって、その他の資質は変わっていないと思います。
じっくりと歌わせやや普通の演奏に近づいたかと思わせますが、ひたむきな推進力の代わりにおおらかな叙情の比率が高まって、その他の資質は変わっていないと思います。
二十歳のユンディ・リと円熟のペライアを比べるものではありませんが、むせ返るような若々しさを放出するユンディ・リに対して、透徹した響きから溢れ出る詩情のペライア。
同じ楽器で似た傾向の音作りをし共にリリカルといわれる音楽性ですが、全く異なる味わいを持っています。
たまたま比べるテレビ番組に便乗しましたが、本当に素晴らしい芸術に接することができました。
[2010-3-14]