森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

《道化師》 カラヤン-スカラ座

レオンカヴァッロ 歌劇《道化師》

管弦楽ミラノ・スカラ座管弦楽団
合唱:ミラノ・スカラ座合唱団
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
演出:ポール・ハーガー
芸術監督:ヘルベルト・フォン・カラヤン
映像監督:エルンスト・ヴィルト
録音:1968年ミラノ・スカラ座
撮影:1968年パラッツォ・ジャッキーオ(ミラノ)
出演
カニオ=ジョン・ヴィッカーズ
ネッダ=ライナ・カバイヴァンスカ
トニオ=ピーター・グロソップ


どちらも短いのでDVDでは《カヴァレリア・ルスティカーナ》カップリングされています。

《カヴァレリア・ルスティカーナ》がひたすら甘美さを追求している印象なのに対し、こちらは場面や心境に応じた陰影が豊かです。
二幕物で前口上から始まり後半が劇中劇というユニークな構成なので短いのにそれなりに見応えがあり、その劇中劇が恐ろしい終末へ崩壊していく様は大変ドラマチックで引き込まれます。

これは映画スタイルが成功しており、疑念と愛憎がアップと主観視点を多用したカメラワークで強調され心理劇として迫ってきます。

カラヤンスカラ座管弦楽団は全く申し分なく楽しませてくれます。
カバイヴァンスカもグロソップも声と演技の両面で完璧にこのヴェリズモを体現していますが、やはり白眉はヴィッカーズの絶唱でしょう。
カニオの慟哭と戦慄が乗り移ったようなヴィッカーズの歌唱は、総毛立つことなしには聴けません。

ジョン・ヴィッカーズ・・ 全く凄い歌手です。


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トニオに言い寄られ、シルヴィオとは既にいい仲に
ネッダの魅力と冷たさをよく演じている。


イメージ 3笑えパリアッチョ!お前の苦悩を
鳥肌モノの凄まじい熱唱

イメージ 4観客注視の中、真の悲劇が始まる

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演技が崩壊していくカニオ。異変に気づき表情を引きつらせながらも演じ続けるネッダ。

この後破局

映画俳優のような素晴らしい心理表現と超一級の歌唱です。
ヴェリズモオペラの醍醐味が凝縮された75分です。

[2009-10-13]