森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

『音を感じる』ということ SENNHEISERのヘッドホンについて(2)

『音を感じる』ということ SENNHEISERのヘッドホンについて(2)

SENNHEISER(ゼンハイザー)のヘッドホンについて、二回目の記事です。

イメージ 1 HD 600 は私のゼンハイザー2台目

ヘッドホンと言うものはいうまでもなく>耳<に情報を送り込むものです。ここに全ての問題があります。

音と言うのは空気の振動です。空気振動は通常は全身で受け止めています。
一方人間の脳が認識する音は、聴覚器官の振動です。と、単純に言えるでしょうか?

聴覚器官の振動 vs. 耳から入る音

まず、この『聴覚器官の振動』と言うのがくせ者で、決して『耳から入った音』と同義ではありません。

現在では当たり前の知識になりましたが、音は耳の穴から入り込む空気振動のほか、つま先から頭のてっぺんまであらゆる場所から骨格などの身体構造を伝わって来ます。つながっているのですから当たり前ですね。
試しに耳の穴を指や耳栓で完全に塞いで空気の通り道を遮断しても、音は完全になくなりはしないことから、これは明らかです。

音はどこで感じる?

次に、音の認識は本当に聴覚からだけか?という問題提起をします。
祭りの太鼓を聴いたことがありますね。
胸や腹の奥、気管や胃の辺りにピリピリ振動を感じます。靴底がプルプル震えることもあります。

ライブハウスのバスドラムでも同じことが起きます。ドラマーのペダル操作に連動してヒザ下から振動が上ってくるのを感じます。

サントリーホールでパイプオルガンを聴くと、ファンダメンタルの音は音とは呼べない低周波振動です。音程なんてわかりゃしません。
以前ある掲示板で「コンサートでそんな腹に響く音なんて聴いたことがない」と反論されたことがあります。申し訳ないけど、きちんと聴いていないか経験不足としか言いようがありません。

石造りの教会でパイプオルガンを聴くと、360度上下全方位からからリバーブとエコーの掛かった音響の奔流が体を襲います。到底『耳で聴く』などと表現できるような代物ではありません。土砂降りの雨を生身で受けるような体感があります。これは低音だけの話ではありません。多分C3くらいの音も皮膚に感触があります。
私は聖歌隊に参加していたので、日常的にそれを味わっていました。

この体感は聴覚とは別物だとしても、『音を感じる』と言うことについて聴覚と相乗効果をもたらしていることは容易に推測できます。

音を感じる

まとめると、
1.聴覚器官へは耳以外からも振動伝達があり、それは決して小さくない。
2.音や音楽を体験することは聴覚のみならず、全身で行なっている。
となります。

とすれば、ヘッドホンで音を聴く意味と性能評価の基準はスピーカーとは違うはずです。

(つづく)




[2009-7-26]