ちょっと違った映画 『レ・ミゼラブル』
映画 『レ・ミゼラブル』
立川シネマ・ツーにて
見逃してしまった『レ・ミゼラブル』をそこで見たかった立川シネマ・ツーで再映したので行って来ました。
ところが
映画の出だしがまるでファイナルファンタジーのオープニング動画のようなCGで、一気に興冷めしてしまいました。
いたる所で空中から見下ろす俯瞰が多用されていて、現実感を遠ざけています。地に足の着いた人間ドラマという感性ではありません。
カット割りが異常に多くまるでミッション・インポッシブルを見ているような目まぐるしさ。
しかも最近流行りの手持ち撮影風のブレや高速パンで臨場感を出す手法に辟易。
歌唱シーンは役者の全画面アップばかりで状況の切迫度が表現されていません。
演出がスピーディーで長編ドラマの重厚感はありません。
文芸作品の落ち着いた格調や、舞台での物事が対峙する緊張感は感じられませんでした。
絵面も、19世紀の話でコスチュームも町並みも良くできているのにもかかわらず『バトルシップ』みたいなSFドンパチと変わりがないです。
大変ガッカリしました。
ただし、ヒュー・ジャックマンはジャン・バルジャンの苦悩をたくみに表現する素晴らしい演技と歌で見応えがあります。
十分に見る価値があります。
こんな酷評をしながら最後はやはり嗚咽を堪えるのに苦労するほど泣けてしまうのだけど、それは原作の力です。
名作文芸作品を原作に持つ名作ミュージカルの映画化作品として、その栄光を背負い切れていないと思いました。
見たあと舞台が恋しくなってしまいました。
しかし見る価値がないというものではありません。先に書いたように泣けます。何箇所も。
隣の女性は開始10分程から延々と泣きっぱなしでした。
ガッカリは私の期待と違うものだったからです。
・・音の臨場感は素晴らしかったのですが、オーケストラの音色がヤセて死んでいました。
これにもガッカリです。
この映画館は多摩モノレールの前にあって時々振動が伝わってきます。
ちょっとドキッとしてしまいます。
[2013-4-28]