森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

ベルリン・フィル デジタル・コンサートホールから

いくつかを実際に視聴してみました


2010年10月23日 フィルハーモニーホール
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ピアノ:イェフィム・ブロンフマン
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第二番

ネゼ=セガンはモントリオールで合唱指揮者からキャリアを登ってきた指揮者です。
メトではガランチャの《カルメン》を振ってデビューし大変な話題となりましたが、その9ヶ月後のこのコンサートがベルリン・フィルデビューです。

カルメン》とは違ってタップリと間をとってふくよかな表情で開始します。
あまりメトロノーム通り演奏する人はいないとはいえ、ここまでやってしまって後が大丈夫なのだろうかと心配になるほどです。

最後まで、《断頭台への行進》や《ワルプルギスの夜の夢》でさえタップリとした豊穣なサウンドで描かれます。

普通の《幻想交響曲》ではムリですが、これはBGMにできそうな音です。
しかし、非常に凝った表情付けをしているので聴き応えはたっぷりです。


イェフィム・ブロンフマンのピアノは素晴らしいヴィルトオジティーを硬質の安定した音色で聴かせてくれました。
音色は硬質なのだけど、弾き方でまろやかに聴こえるトーン、そして諧謔的かつゴージャスな音楽。
演奏の様子も全くつまらなそうに弾いているのに、この豊かな音楽は何という事でしょう。


2012年2月16日 フィルハーモニーホール

ラトルの個性にもイギリス人という意味でもエルガーはピッタリだと思い期待を持って見ました。

友人たちの個性を愛情豊かに、時には戯画的に描くと言うより、音楽的に美しく描くことに注意を払ったようです。

暖色系の豊かなサウンドが魅力的ですが、ベルリン・フィルの憂いを持った音色も懐かしく思えます。


2008年11月8日 フィルハーモニーホール
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番

ラルス・フォークトはやたらゴツゴツすること無く、流れるようにこの曲を演奏しています。
しかし決して曲のドイツ的堅固さに対して負けてしまうような事はなく、滑らかなりの存在感を示して物足りなさを感じさせません。


1997年4月3日 ウィーン楽友協会大ホール
ソプラノ:バーバーラ・ボニー
合 唱:スウェーデン放送合唱団
    エリック・エリクソン室内合唱団
合唱指揮:マリア・ウィースランダー    

ブラームスの没後100年記念の演奏会です。

大変柔らかく慈しみ深く歌っています。
オケもそれを柔らかく包みこむような演奏です。

ただし柔らかのは音の出し方だけであって、精神的にはずっと張り詰めた物を感じます。
挑戦的な峻厳さではなく、尽きることのない慈愛の高まりを感じるような感動的な名演奏です。

音が止んだ後アバドが振り向くまでの長い間、静寂がホールを支配しました。


ブリン・ターフェルは爽やかで素直な声が魅力的ですが、ボニーがちょっと頑張り過ぎだったという印象なのが惜しいと思いました。

[2012-2-26]

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