森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

メジューエワ ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第二番

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グローバル・フィルハーモニック・オーケストラ

ムソルグスキー:禿山の一夜(原典版
ラフマニノフ :ピアノ協奏曲第二番 ハ短調 OP.18

指揮 :橘 直貴
ピアノ:イリーナ・メジューエワ











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このホールは初めてなので、まず特性を聞き分けようと思いました。

座席はピアニストの手がよく見えるよう、一階席の15列の中央左寄りです。
















禿山の一夜原典版は各楽器の生音がよく聞こえるようなオーケストレーションなので、ホールの特性を聴くにはうってつけです。

オーケストラがアマチュアでエンジンが暖まるのに時間がかかっているようですが、それを考慮して聞き取ると、

高音弦は非常に地味に、奥まって聴こえる。
低音弦は弾き始めがはっきりせず、膨らみはタップリと聴こえる。
金管ブリリアントというより、猛々しく聴こえる。
木管は太く大きく聴こえる。
太鼓は打撃音より響きが柔らかく聞こえる。

ざっとこんな印象です。

それにしても《禿山の一夜(原典版)》はワイルドで楽しい、しかしまとまり感のない音楽です。


さてお目当てのメジューエワ独奏のラフマニノフです。

私は独奏者目当ての場合あまり協奏曲は好きではありません。
好きな奏者の音をオケが邪魔しているように感じてしまうから。

しかし、エキサイティングな音楽とは対極にあるようなメジューエワがこのエキサイティングな曲をどう演奏するか、また彼女が協奏曲にどう取り組むのかに興味があって出かけていきました。

果たしてメジューエワはのラフマニノフですが、十分にエキサイティングでした。

彼女のテクニックに心配は全くしていませんでしたが、やはりこの曲を弾くこと自体には何の問題も感じていないようで、非常にしなやかで美しい手首の動きで、力みが全く有りません。

そして殊更に疾走感や力感を強調することが無いのは彼女ならば当たり前ですが、ここぞというときはとてつもない瞬発力を見せ腰が浮きそうな力強い打鍵もします。

ラフマニノフの独奏曲が大変得意な彼女らしく、粒だちの美しい音でメランコリックに聴かせようと心がけているのが分かりますが、そこに独奏ではあり得ないむやみやたらな和音の強打も聴かせてくれたように思います。

オーケストラの深い呼吸に合わせる能力も完璧で、合いに不安を感じることは一切ありませんでした。

しかしこのホール、私の位置ではピアノが目で見ているよりもかなり小さな楽器に聞こえてしまいます。
真ん中から低音方向の音がしっかりと成り切らない印象です。

音響が良いと評判なようですが、私にはとてもそのようには聞こえませんでした。
たしかに余韻は聞こえ、余計な濁りがつかず、大音響でも飽和感が無いという、素性の良さは有ります。
しかしシューボックスタイプなのにステージ背面に天井までパイプオルガンがあって天井にも反響板が無いので、響きのバランス調整がしづらいのではないでしょうか。

調律もピアノに対してオーケストラが少し高めだったのではないかな?

とにかく、オーケストラはひたすらゆったりとおおらかな演奏をして、ピアノは細やかかつ安定していて、美しいラフマニノフでありながらカタストロフィーとしての迫力も十分堪能できました。

オーケストラも右肩上がりに響きが美しくなっていくのが判りました。

終わった瞬間に盛大なブラボーが沸き起こりました。


グローバル・フィルハーモニック・オーケストラはなかなか堅実なオーケストラでした。


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錦糸町駅から徒歩5分もかからない場所あり、大ホールと小ホールを擁します。

大きなパイプオルガンが設置された、自治体のホールとしては大変立派なホールです。

ロビーが狭いのですが、狭いながらも大変に美しい作りになっています。




















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館内には様々なアート作品や、葛飾北斎の浮世絵パネルなどが至る所に展示されています。

後で調べたところではここの財団で、葛飾北斎の研究なども行っているようです。























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空間にイーゼルが立っているのが見えますが、東海道五十三次などのパネルが展示されています。


















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ホールを出ると目の前にこのような景色。

スカイツリーもだいぶ出来てきましたね。


































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上と同じ写真ですが、こうしたほうがスカイツリーの巨大さが感じられますね。
































[2011-1-16]