森羅観照記

つれづれなるままに・・。当世ではそれを「チラシの裏にでも書いとけ」と呼ぶそう。

指揮者は楽器を奏でるわけでなく、人の心を奏でる演奏家だ

指揮者は楽器を奏でるわけでなく、人の心を奏でる演奏家だ - 朝比奈隆


今日一番印象に残った言葉です。

テレビ朝日
「新春クラシックスペシャル2009 生誕100年朝比奈隆名演伝説」
という番組で、朝比奈隆氏のリハーサルを要約してナレーターが語った言葉です。


私は今では本業が忙しくリタイアしてしまいましたが、以前は約12年間アマチュア合唱団で指揮者を務めていました。今ではごくたまに余興に呼ばれるくらいですが。

そこでは私は
「指揮者は身振り手振りで歌い手やピアニストにニュアンスを示すダンサー」
というコンセプトで指揮棒を振ってきました。
-ちなみに、私は本番では素手振りはしません。一本の棒と身振りでどんなニュアンスも伝えることができると思っています。

だから、メトロノームみたいに几帳面な指揮とか、本番に事務的な細かい合図をたくさん出しすぎる指揮を見ていると、音を出す方の自主性が阻害されないか少し不安に感じてしまいます。

私が、演奏側として指揮を受けた中で一番大雑把な棒でかつ豊かに音楽性を伝えてくれたのは、山田一雄先生でした。
ヤマカズさんはその著書  「指揮の技法」  という教本の中でかなり自由落下と打点にこだわり、テンポや拍節を示すというメカニカルな面を重視しているのですが、実際の氏の指揮は全くそんなことには無頓着でした。
しかし、とてつもない速度変化やダイナミクスなのにちっともずれたりはしませんでした。氏がどれだけのアゴーギクを求めているかが理解できたからですね。

ああ、今ならかなりいい指揮ができると思うんだけどなあ。またやりたい・・